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熱帯夜に暑くて眠れないのはなぜ?

熱帯夜と呼ばれるのは、「18時から翌朝6時までの最低気温が25℃以上の夜」といわれています。
暑さが本格的になる7月下旬から8月中旬にかけて多く、真夏の日中気温の影響や日が暮れても都市部ではヒートアイランド現象により海からの風が入らず、エアコンや車からの排熱で熱せられたコンクリートは夜になってもなかなか冷えません。
外気温が下がらなければ室温も下がらないので、夜になっても25度以下に気温が下がらないという状態になります。
人間は眠りに入る時、自然と身体の深部体温が下がりますが、熱帯夜は室温が高すぎて体温調節が上手く機能しないため、眠るための環境が整わず、なかなか寝付けなくなってしまうのです。
熱帯夜が暑くて眠れないのは、気温だけが原因ではなく、湿度も関係しています。
湿度が高いと汗が蒸発しないため、身体の温度も下がらず寝苦しく感じてしまうのです。
寝苦しい夜を乗り切る7つの対策

ここでは熱帯夜を乗り切るための7つの方法を具体的に説明していきます。
天然素材や接触冷感素材の寝具を使う
敷きパッドや枕カバーを天然素材のものに変えるのもおススメです。代表的な素材は綿(コットン)や麻になります。
また、日本で昔から使用されているい草や竹などの素材もヒンヤリ感じることができるので取り入れてみるのも良いでしょう。
さらに最近は接触冷感素材のものも増えてきましたね。
敷きパッドの中には接触冷感効果が高くて一見夏の眠りを涼しくしてくれそうなものがありますが、生地素材に吸水性・吸湿性がないと汗が吸収されずに蒸れて熱がこもって寝苦しくなるので気をつけるようにしてください。
接触冷感素材の商品もどんな生地でつくられているか確認するようにしましょう。
化学繊維(ポリエステル・ナイロンなど)のみの生地表示の場合は注意が必要です。
吸放湿性の高いパジャマを着る
綿(コットン)やリネンなどの天然素材で作られた、汗を吸いやすいパジャマを着るのも効果的です。
化学繊維よりも通気性や吸水性がよく、さらっとした着心地が特徴です。
また、たくさん汗をかくため毎日(最低でも2日に1回)は洗濯が必要なので、機能性以外にも速乾性や肌触りも重要です。
デザインは、体温を逃しやすい首元が開いたタイプや寝返りを打ちやすく、ゆったりとしたものがおススメです。
さらに夏は短パンや丈の短いパジャマを選びがちですが、最も体温が下がる起床の1〜2時間前は気温や室温も下がるため、長ズボンのパジャマを着用すると足の冷えが和らぎ、起床時のだるさの軽減につながるので、夏も長ズボンのパジャマの着用が理想的です。
冷感シートやアイスノンを使う
快適な睡眠には昔から”頭寒足熱”が効果的と言われてきましたが、単純に頭を冷やすという発想よりも「眠るために脳の温度を管理していく」というイメージをもつことが大切です。
人間の身体は深部体温(内臓の温度)が下がると眠くなるように出来ています。
その深部体温の中でも特に大事なのは実は脳の温度といわれています。
脳の温度を下げることで寝付きが良くなる近道になります。
脳は、周囲に筋肉や脂肪分が少なく、外気温に直接影響を受けます。
脳の温度を下げるには、冷たいものをあてて直接冷やせば効果があります。
そこでおでこに貼る冷感シートの出番です。
ふとんに入った状態でおでこを急に冷やすと、全身の血行がよくなって一時的に体温が上がります。
しかし頭はふとんから出ているので、徐々に脳の温度が下がり、そのときに自然な眠気が訪れてスーッと寝付くことができます。
本当はダメだとわかっていても眠る前にテレビやスマホなど、ブルーライトを浴びる習慣がある人は、特に頭を冷やすことを意識してみてください。
脳の温度はブルーライトを浴びることでも上がります。
オーバーヒート気味になった脳の神経をクールダウンしてあげましょう。
また、熱帯夜には冷感シートに加えて、冷蔵庫や冷凍庫で冷やすアイスノンやジェル枕などもオススメです。
固くならないタイプのものがGood!
ただし、目元や首の部分は冷やさないことが重要です。
特に首には、呼吸中枢などの生命維持機能があるので、ここが冷えると逆に脳が覚醒して目が覚めてしまいます。
耳から下は冷やさないように気をつけましょう。
サーキュレーターや換気扇で空気を循環させる
寝苦しくて困っているという時は、サーキュレーターを使って部屋の空気を循環させる方法も効果的です。
空気はあたたかいと上に昇り、冷たいと下部に溜まるという性質を持っています。
サーキュレーターの強力な風で空気をかきまぜることで、床付近に溜まった冷気が空間全体に拡散され、部屋の温度を下げることが可能です。
サーキュレーターを部屋の隅に置き、天井に向けて風を送ると、窓を閉めた状態でも空気を循環できます。
また、換気扇を回して空気の流れを作ることもできます。特に強力なのがレンジフードです。
音は少し気になりますが、とにかく空気の入れ替えが早いのが特徴です。
窓を開けて、レンジフードを回すと、排出された分窓から空気が入ってくるので、風が無い日でも強制的に空気の流れを作ることができます。
凍ったペットボトルを置いて扇風機を回す
2ℓのペットボトルに水を入れて凍らせておきます。
水は凍らせると膨張するため、満水まで入れてしまうと破裂してしまう危険があるので、 水を8分目ほど入れて凍らせたものをタオルを敷いた洗面器などに立てておきます。
凍ったペットボトルの表面は結露で濡れるため、そのまま床に置くと水でびしゃびしゃになってしまうので注意が必要です。
また、周囲に家電やコンセントがあると故障の原因になるだけでなく、漏電の恐れがあり危険ですので周りに何も置かない環境をつくることが大切です。
ペットボトルに直接風が当たればいいので、手軽に試したい場合は扇風機の前に凍らせたペットボトルを置くのがおススメです。
扇風機の風を凍らせたペットボトルに当てると、風を冷やすだけでなく、水分が気化するときにも熱を奪うのでさらに効果が倍増します。
ただし、涼しくなる範囲は直接風が届く距離に限定されます。
部屋全体を冷やせるものではなくおだやかな冷却作用なので、その部分を考えて取り入れてみてください。
除湿器を使用する
温度に加えて湿度が高いとより暑く、不快で眠れなくなります。
一般的に湿度が10%高いと体感温度は1℃高くなるといわれています。
除湿を行うことで体感温度を涼しくすることができます。
ただ、使用する除湿器の仕様によっては逆に部屋を暑くしてしまうものもあります。
主に販売されている除湿器の仕様は3種類あり、それぞれ除湿の仕方が異なるので、本体からの熱の出方が違います。
一番、暑くなるといわれているのが「デシカント式」です。
なぜなら、中にヒーターがはいっており温風をつかって除湿する仕組みだからです。
冬場の衣類乾燥や冬場の結露対策に適しています。
一方「コンプレッサー式」は、デシカント式と比べるとヒーターをつかっていないので、熱の量は少なく、夏場の衣類乾燥や梅雨場の除湿に効果的な仕様です。
3つめの「ハイブリット式」は、そんな両方のデメリットを克服した除湿器です。
夏も冬も年中使えるのが特徴ですが、価格が高いといわれています。
ご自宅にある除湿器がどのタイプか確認してみましょう。
また、最近では「除湿冷風機」など新しい商品も登場しています。
これから購入を検討される際にはぜひ仕様と共に比較してみましょう。
また、使い方にも工夫をすると◎。
「熱がこもりにくい広い部屋で使う」、「比較的涼しい北側の部屋に置く」などを試してみるのもおススメです。
お風呂でクールダウンできるアイテムを取り入れる
人の身体は、「深部温度」が下がることで自然と眠気を感じるようになっています。
38〜40℃のお湯に15分ほど浸かることで、一時的に深部体温が上がってその後下がっていくので、自然と眠りやすくなります。
暑い日でもぬるめのお風呂なら入りやすいでしょう。
さらに湯船にハッカ油を数滴垂らしておくと、メントール効果で湯上がりがさっぱりします。
ミントやレモンなどの入浴剤を使用するのも同様の効果が得られます。
また、シャンプーやボディーソープにメントールやヒンヤリ感じるクール効果があるアイテムも多く販売されています。
汗を流すついでに体感をさっぱりさせるのも◎。
それでも暑くて眠れないときはエアコンをつけてみましょう

エアコンの冷房を使わなくても、涼しくなるアイテムを使う、就寝前に体温調整をするなどの工夫で、暑い夜でもよく眠れる方法を紹介しましたが、それでも暑くて眠れないときは、エアコンを使って室温を調整しましょう!
身体に負担が少ないエアコンの使い方

快適に寝るための室温は26℃〜28℃程が推奨されています。
また室内の湿度が高く汗が乾きにくい環境だと、不快に感じて寝つきが悪くなる原因にもなるので、湿度は50〜60%程が理想的といえます。
エアコンの設定を行う際に、風が直接身体に当たらないように風向きを上向きに設定することが重要です。
さらに寝室をより涼しく眠りやすい環境にするためには、エアコンと一緒にサーキュレーターや扇風機を活用しましょう。
サーキュレーターや扇風機を上向きに回して室内の空気を循環させてあげると、室温の差がなくなります。
また、フィルターや熱交換器などの掃除をして、エアコン本来の性能を発揮できるように定期的なメンテナンスを行いましょう。
電気代を少しでもお得に!効率的なエアコンの設定ポイントは?

エアコンの冷房を使うときの電気代の節約ポイントは、自動運転でつけっぱなしにすることです。
理想的な設定温度は「28℃」です。
エアコンの自動運転モードは、設定温度まで一気に室温を下げて、その後は微弱運転や送風運転で温度を保ってくれます。
短時間で設定温度まで下げて節電してくれるので、こまめに電源のオン・オフをするよりも、自動運転でつけっぱなしにする方が電気代が節約できます。
また、見逃しがちなのが、室外機の設置場所です。
冷房は室内に冷気を出すように見えますが、実は室内の空気から熱を奪い、冷媒と室外機を通して室外へ熱を放出しています。
室外機は加熱を防ぐ必要があるため、直射日光の当たらない日陰に置くのが理想といえます。
もし難しい場合は、すだれや室外機専用の日よけパネルを設置したりして、日光を遮断するよう工夫してみましょう。
そうすることで、5〜10%の節電効果が期待できるといわれています。
まとめ

熱帯夜に暑くて眠れないと翌朝疲れが残り、日中のパフォーマンスにも多大な影響を与えてしまいます。
今回ご紹介したエアコンなしでも快適に眠る方法の中から、ご自身の試しやすいものをまず実施してみてはいかがでしょうか。
また、夏は汗の量も多くなり、寝具への影響が気になる方はこちらのコラムをご覧ください。
「寝汗で濡れたふとんを放置するのは危険!寝汗対策3選もご紹介」
さらに夏場はふとんカバーや枕カバーをより頻繁に洗って清潔に保つことも大切です。
「ふとんカバーを洗濯する頻度は?洗濯方法とキレイに仕上げるコツ」や「枕カバーの清潔を保つ理想の洗濯頻度は?洗う際の注意点もご紹介!」で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
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