ショートスリーパーとは?特徴や健康への影響は?短時間睡眠との違いも解説!
毎日仕事や家事で忙しくて時間が足りず、睡眠時間を削っているという経験はありませんか?
短い睡眠時間でも活動的に生活できるショートスリーパーという体質に憧れを持つ方もいるかもしれません。
適切な睡眠時間はそれぞれ異なるのですが、一般的に人間は約7〜8時間の睡眠が必要といわれます。 しかしなかには6時間未満の睡眠でも健康上全く問題ないショートスリーパーと呼ばれる人や、9時間以上寝ないと疲れがとれないロングスリーパーの人がいます。 「トレーニングでショートスリーパーになれる!」といった情報も見かけますが、本当に目指してなれるものなのでしょうか。
この記事ではショートスリーパーについて、どういう特徴を持つ存在なのか、よく勘違いされやすい短時間睡眠との違いや無理に短時間睡眠にするリスクなどについてご紹介します。
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ショートスリーパーとは?どのような人の事を指す?
ショートスリーパーは必要とする睡眠時間が短く、6時間以下の睡眠でも熟睡感を得られて活動的な人のこと。です 睡眠の効率が良いとされており、寝つきも良く短時間でスムーズに眠り始めることが可能。です。
ショートスリーパーは、レム睡眠(脳の眠りが浅い時間)が少なく、ノンレム睡眠(脳の眠りが深い時間)はほとんど一般の人と変わらないことが分かっています。 そのため、ショートスリーパーは、6時間以下の睡眠が連日続いても昼間に眠気を感じることがほとんどなく、健康に問題が生じることも少ないとされています。 また、睡眠から覚醒までの時間が短く、活動状態への切り替えが非常に早いことも特徴です。
目覚めがスムーズで、時差ボケの影響もほとんど受けないといわれます。
反対にロングスリーパーとは、一般的に9時間以上の睡眠を必要とする人を指します。 また、寝つきに時間がかかり、浅い眠りが続く傾向が見られます。 そのため、通常9時間以上の睡眠をとらなければ、十分に休めたと感じられないことが特徴です。 これは体質によるもので、9時間以上の睡眠が最適な睡眠時間であることから、長時間眠ることがあっても病気とはいえません。
ショートスリーパーとされる人との必要な睡眠時間の差は3時間以上あるといえるでしょう。 長い時間眠ることで、心身をしっかりと休めることができて翌日にストレスや疲労が残りにくいというのも特徴です。
本物のショートスリーパーは極めて少ない?!
ショートスリーパーとは睡眠時間が6時間以下で健康な状態を維持できる人のことを指します。
真のショートスリーパーは数千人に1人程の割合といわれています。 ここでは勘違いされやすい短時間睡眠との違いも解説していきます。
短時間睡眠との違い
ショートスリーパーと似た言葉に「短時間睡眠」があります。 両方とも睡眠時間が短い点は共通していますが、特徴には明らかな違いがあります。
【ショートスリーパー】 ●睡眠時間・・・6時間未満 ●特徴・・・・・日中に眠くならない、活動的
【短時間睡眠】 ●睡眠時間・・・必要な睡眠時間をとれていない ●特徴・・・・・日中に眠気を感じる、休日の睡眠時間が長くなりやすい
短時間睡眠は自分にとって必要なだけの睡眠がとれていない状態のことです。
ショートスリーパーは、6時間未満の睡眠でも日中のパフォーマンスに影響を感じることなく活動できますが、短時間睡眠の場合、日中の眠気や休日に長く寝てしまい、平日の不足した睡眠を補おうとする傾向が見られます。
ほとんどが自称ショートスリーパー?!
日本人は他国と比較した時の睡眠時間が短いのが現実です。 日本における睡眠時間については、厚生労働省が令和2年に行った調査によると、男性の37.5%、女性の40.6%は睡眠時間が6時間未満であることが分かりました。
睡眠時間のみで見てしまえば、日本人の約40%がショートスリーパーに該当するようにも思えますが、実際には必ずしもそうではありません。
睡眠時間が6時間未満であっても、真のショートスリーパーとは限らず、慢性的な睡眠不足や睡眠障害を抱えている可能性が多いと考えられます。
また、仕事や家事、育児などの要因によって、日々の睡眠時間を短くせざるを得ない状況に置かれている方も多く、その結果、十分な休息を取れないことが課題となっている可能性も高いです。
睡眠時間が短いショートスリーパーの身体への影響は?
通常の人は睡眠時間が5時間でも寝不足を感じ、それが続くと睡眠障害を引き起こしてしまいます。
しかし、真のショートスリーパーは、たとえ3〜4時間であっても朝スッキリと目覚められ、健康への影響はないとされます。
ショートスリーパーに健康への悪影響が見られない理由は、「生まれつきの体質」を持っているためです。
ショートスリーパーは特有の遺伝子変異により、6時間未満の短い睡眠時間でも目覚めが良く、日中の眠気や精神機能への影響がないのが特徴です。 これは幼児期から変わらずあらわれることがほとんどとされています。
ショートスリーパーの場合は睡眠の質が高く、体内時計が適切に機能しているため、健康や寿命のリスクが生じにくいといわれています。
ショートスリーパーになる方法はある?
ショートスリーパーは短時間の睡眠でも健康的に過ごすことができ、必要な睡眠時間が減る分、自由に使える時間が増えるので、憧れを持つ方も多いでしょう。
ではショートスリーパーは目指してなれるものなのでしょうか?
先天的に遺伝子によって決められている
残念ながら真のショートスリーパーは目指してなることはできないことが分かっています。 近年の研究によると、ショートスリーパーかどうかは、人の体内時計と関わりを持つ「DEC2」という遺伝子に突然変異を起こしているということが発見されました。
この変異遺伝子を持っている人は、目覚めやすく、より長時間活動的な状態でいられる脳を持っているとされています。
マウスを使った実験では、変異遺伝子を持つマウスは睡眠時間が短いことはもちろん、深い睡眠状態からの覚醒が非常に早いことが分かっています。
また、2019年にはスタンフォード大学の研究チームによって「ADRB1」というショートスリーパーにまつわる2つめの遺伝子が発見され、この遺伝子の突然変異によってもショートスリーパーに影響していることが分かりました。
真のショートスリーパーは特定の遺伝子を持った先天的な体質であって、訓練などによって後天的にショートスリーパーになれるわけではないということが明らかになったのです。 また、ショートスリーパーにまつわる遺伝子「ADRB1」が突然変異する確率は、2.5万人に1人とされています。
ショートスリーパーの正体は遺伝子の突然変異なので、その遺伝子を持った真のショートスリーパーの人の割合は0.1%未満ということが推察され非常に少ないとされています。
短時間睡眠を目指すことはできる
前提情報として、適切な睡眠時間は個人差があるため、無理に短時間睡眠(ショートスリーパー)になることは推奨されておらず、短時間睡眠の習慣づけも難しいと言われています。
それでももし短時間睡眠を目指す場合に重要なことは、昼間のパフォーマンスを落とさないように短時間睡眠でも睡眠不足にならないことです。 そのためにはまず、睡眠の質を上げていくことが大切です。 例えば、1日8時間睡眠が必要という人の場合、翌日、適正睡眠時間の8時間よりも睡眠時間が短い場合でも、スッキリと目覚めることができ日中の疲れや眠気がないと感じれば、効率の良い睡眠に近づいたといえるでしょう。
年齢を重ねると睡眠時間が短くなる傾向にある
年齢が高くなるにつれて眠りが浅くなる傾向にあり、睡眠時間が短くなっていきます。
これは、日中の活動量が減少していたり、昼寝をする機会が増えていたり、夜中にトイレに行く頻度が増えたりと、様々な要因が考えられます。
一般的な睡眠時間の平均値は
15~24歳:約7~8時間 25~49歳:約6~7時間 50~65歳:約6時間
との調査もあります。
また、女性の方が睡眠時間が短くなる傾向にあり、60代の女性においては平均睡眠時間が6時間未満の人の割合が多くなっているようです。
短時間で効率的な睡眠をとるには?
無理に短い睡眠時間を続けると、睡眠不足を引き起こし、身体に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
ショートスリーパーでない人が、睡眠時間を短縮するうえで注意しておきたいポイントについて紹介します。
睡眠の質を向上させる
少しの時間でも最大限の睡眠効果を効率的に得られるように、睡眠の質を上げることが大切です。
いくつか睡眠の質を上げる方法を例にあげているので出来そうなものから実践してみることをおススメします。
<就寝前の行動> ・就寝する1〜2時間前に入浴や軽い運動で体温を上げておく。 ・音楽・読書・アロマなど自分がリラックスできる方法で、副交感神経を優位にする。 ・TV・PC作業、ゲームやスマホ操作等、睡眠を妨げるブルーライトを極力避ける。 ※難しい場合はブルーライトカットメガネを使用したり、画面の明るさを調整してナイトモードや暗めに設定する。
<その他>
・朝は太陽の光を浴び、朝食を摂り体内時計を整える。 ・寝室内の光や音の環境を整えて温湿度が高すぎたり低すぎたりしないよう調節する。 ・日常的にストレスを溜めることはせず、意識的に発散する習慣を持つ。
睡眠の質を上げるコツをさらに知りたい方は「今こそ睡眠の質を上げたい!寝る前にすると良い8つのことを徹底解説!」 を参考にしてみてください。
睡眠時間を少しずつ減らしていく
睡眠時間を短くするには、以下のポイントを意識して時間を徐々に減らして身体を慣らしていく方法がおススメです。
①毎朝同じ時間に起きる 起きる時間を決めて、習慣づけることがまず第一歩です。 朝にやることを決めたり、趣味の時間を設けたりすると自然と朝型にすることができるかもしれません。 身体に時間を覚えさせれば、寝る時間に関係なく自然と同じ時間に目覚められます。
②就寝時間を30分ずつ遅くしていく 同じ時間に起きることができるようになった状態で、就寝時間を30分ずつ遅くしていきましょう。 日常の生活に寝不足による疲れや眠気などの影響が出ないよう、睡眠時間を減らすには、最低でも3週間おきに30分ずつ睡眠時間を減らしていくことが重要といわれています。
ただし3週間経っても身体が慣れず、寝起きが悪かったり、昼間に何度か眠気に襲われる場合は、もう1週間その睡眠時間で様子を見てから次の段階に進むようにしましょう。 睡眠時間を30分短くしたはじめの1週間は特に慣れていないため目覚めが悪かったり、昼間に強い眠気に襲われる場合があります。
しかしその眠気が夜の寝つきを良くし、睡眠の質を高めてくれる場合もあるので、無理がない程度に注意をしながら慣れるまでしばらく挑戦してみてください。
③意識して仮眠(パワーナップ)をとる 仮眠をすることで、疲労感が減り頭がスッキリするといわれています。 積極的に仮眠をとることで、日中のパフォーマンスも落とさずに夜の睡眠時間を短縮できます。 ただし15時までにとるようにし、夕方以降は避けるようにしましょう。
コーヒーを飲んでから仮眠をとると、カフェインの覚醒効果で目覚められ、非常にスッキリ起きられます。 さらに詳しく知りたい方は「昼寝(パワーナップ)は疲労回復に効果的!昼寝をするときに気をつけたいポイントとは?」 の記事をご覧ください。
短時間睡眠を目指す際に知っておきたいリスク
ショートスリーパーや短時間睡眠に憧れて、無理に体質を変えようとするのはあまり効果がなく、むしろ健康を害するリスクを高めてしまうので気をつけましょう。
睡眠不足による心身への悪影響
睡眠不足は、自律神経の乱れや高血圧、疲労感や倦怠感の原因となり、ストレスの増加や肥満などさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。 こうした睡眠不足による不調は、すぐに身体に現れないことも多く、自分では気づきにくいものです。
短時間の睡眠を長期間続けた結果、気づいたときには体調が大きく損なわれていた、という事態を避けるためにも、毎日必要な睡眠時間を確保することが大切です。
例えば、e-健康づくりネット(厚生労働省)によると、6時間未満や不眠の人はうつ病発症が通常の人と比べて2.27倍増加するといわれています。 睡眠不足でも大丈夫と過信せずに日中の変化などがないか注意することを意識しましょう。
ショートスリーパーの人は、生まれつき短時間睡眠の体質であり、トレーニングや努力で身につけられるものではありません。 ショートスリーパーではない人がその生活スタイルを無理に真似しようとすることは、単に睡眠時間を減らしているにすぎず、最悪の場合には健康リスクが高まる恐れがあります。 したがって、ショートスリーパーを目指すことは避け、自分に合った十分な睡眠時間を確保することが重要です。
パフォーマンスの低下を招き、日中の活動効率が悪化する
毎日の睡眠時間を削り続けると、わずかな睡眠不足でも認知機能に深刻な影響が出ることがあります。
たとえば、睡眠時間を2時間削って勉強や仕事に取り組んだとしても、日中に眠気が増すことでパフォーマンスが低下してしまっては本末転倒です。
それよりも、しっかりとした睡眠をとり、体調を整えたうえで活動に集中する方が、結果的に効率が向上するといえるでしょう。
まとめ
ショートスリーパーは元々の体質なので、努力しても真のショートスリーパーにはなれません。
睡眠時間が短くなると自由に使える時間が増えるので非常に魅力的ですが、ショートスリーパーに憧れる方は睡眠不足によるリスクを意識することも大切です。 多くの人は睡眠時間を短くすることで、かえって疲労感や集中力の低下を招いてしまいます。 睡眠時間を無理に短くするのではなく、質の高い睡眠を心がけましょう。
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