眠りが浅い?!寝ても途中ですぐ起きてしまうのはなぜ?原因や改善策を解説
しっかりと眠りたいのに眠りが浅くなり、 「夜中に目が覚める」 「寝ても途中で起きてしまう」 という経験はありませんか?
眠りが浅く睡眠不足の状態が続くと、不眠症のような睡眠障害に繋がる可能性もあります。
「眠りが浅い」「途中で起きてしまい、すぐ寝付けない」という悩みが長期間続く場合は放っておかずに原因を考え、改善を目指すことが大切です。
今回のコラムでは、眠りが浅くなる原因や目が覚めてしまったときの過ごし方、改善策などを紹介します。 眠りが浅いと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。 |
眠りが浅いのはもしかして不眠症?!眠りが浅く深く眠れないことで、「不眠症」を疑って不安を抱いている方もいるかもしれません。
不眠症とは、眠りたいのに眠れず、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が現れ、活動に支障をきたす状態のことです。 主に精神・身体の不調や、自律神経の乱れが原因で発症します。 症状は1ヶ月以上続いた結果、日常生活の質が低下し治療が必要になる可能性もあります。
中途覚醒とは「中途覚醒」とは、眠りに入ったあと、翌朝起床するまでの間に何度も目が覚めてしまう状態です。 途中で目が覚めると、眠りが浅い・ぐっすり寝た気がしない・昼間眠いなど、程度によっては日常生活に支障をきたす場合があります。中高年や高齢者に多い傾向があります。
その他の不眠症の種類「入眠障害」とは、寝ようと思ってもなかなか寝付けず、入眠に時間がかかる(30分〜1時間程度)状態です。 身体が緊張していたり、不安な気持ちの時に起こりやすいといわれます。
「早朝覚醒」は、希望している又は予定の起床時刻より2時間以上早く目が覚め、再び寝つけない状態です。 加齢の影響を受けるとされます。
「熟眠障害」は、睡眠時間は確保できているものの、眠りの質が悪く熟睡感が得られない状態をいいます。
不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に不調が現れる」ことが問題なので、眠りが浅く感じられても昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。 睡眠時間が短いことや目覚め回数にこだわりすぎないことも大切です。 また、一般成人の30~40%は何らかの不眠症状を有しています。 もはや不眠症は国民病といわれるほど多くなっており、60代を超えてくるとさらに加齢も相まって不眠症状はどんどん増えていきます。 ただし、不眠症は特別な病気ではないため多くの人が睡眠薬や睡眠導入剤を活用して生活への支障を減らし対処しています。 参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)
眠りが浅く目が覚めてしまう主な原因
眠りが浅く途中で起きてしまう原因は人によってさまざまです。 改善のために、まずはご自身の“眠りづらさ”の原因を知りましょう。 ここでは主な原因を中心に解説していきます。
ストレス不安や悩み、大きなプレッシャーなど精神的なストレスを抱えていると睡眠に支障をきたしやすくなります。 ストレス状態にあり、それを本人が感じているとき、身体の中では交感神経が優位になっています。 交感神経は「闘争の神経」とも呼ばれており、活発化すると身体は無意識のうちに緊張状態になります。 そのため眠りにくかったり、眠りについてもすぐに目覚めたりしてしまうのです。 一般的にストレスを溜め込みやすい真面目な人や繊細な人ほど症状が出やすいともいわれています。 さらに「また眠れないのではないか」という心配が原因で、さらに眠れない日々が続いている等の場合、慢性的不眠症になる可能性が高まるので注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群体重増加や肥満、顎の形が小さい方、小顔の方、扁桃腺肥大がある方に特に多くみられる、睡眠の病気です。 眠っているときに、気道が狭くなり呼吸が何度も止まります。 身体が酸素不足になるので、苦しく感じ、低酸素血症を防ぐために努力した呼吸が生じることが、途中で目が覚める理由になることがあります。
飲酒やカフェインの摂取アルコールの利尿作用により、就寝中トイレに行きたくなり、目が覚めてしまいます。 アルコールは一時的に眠気を誘発しますが、作用が切れると脳が興奮し始めます。 すると、眠りが浅くなり、睡眠の質が悪くなります。 また、コーヒー・紅茶などに含まれるカフェインには覚醒作用があり、安眠を妨げます。 カフェインにも利尿作用があり、摂取量やタイミングを間違えるとアルコール同様にトイレ覚醒も増えてしまいます。
寝室環境寝室が快適に眠れる環境ではない場合、夜中に目が覚めてしまうことがあります。 ベストな室温は夏季26℃前後、冬季約16〜19℃、湿度は50〜60%前後が良いとされています。
まず、寝室に温湿度計(おんしつどけい)を置いてみましょう。 快適な温湿度を保つためにエアコン、加湿器、除湿機を上手く利用することも重要です。 夏はエアコンや扇風機の風が、身体に直接当たらないようにし、一晩中つけっぱなしにしないことも大切です。 就寝1時間くらい前につけて室内を適温にし、環境に差はありますがだいたい寝ついて2時間程度したら切れるようにします。 冬の寒さで起きにくい時期は、寝るときに暖房を切り、タイマーを起床時間の1時間くらい前にセットするのもよいかと思います。
また、ふとんの中(寝床内)の温湿度も寝やすさと関係が深いです。 季節と寝室に合わせた寝具とパジャマを選んで、快適な温湿度に保つことが大切です。
・ふとんの中の温度:32~34℃ ・ふとんの中の湿度:40~60%
この範囲内に温湿度を保つかが「質の良い眠り」の大きなポイントになります。
加齢原因の1つには「加齢」もあるでしょう。 加齢に伴い、体内時計のリズムが変化すると、早寝早起きの傾向が強まります。 また、一般的には加齢とともに睡眠の質が低下し、深い眠りであるノンレム睡眠が減少するため、物音や尿意などの外部要因で目が覚めやすくなります。 ただし、加齢による睡眠パターンの変化は一部の人に影響を与えますが、一般的には健康上の問題とは見なされない場合が多いです。
目が覚めてしまった時の過ごし方
途中で目覚めてしまったあと、どのように過ごしたら良いのでしょうか?
まず、ゆっくり深呼吸をしてみましょう。 苦しくならない程度で、6秒吸って、6秒息を止めて、6秒かけてゆっくり吐き出す。 これを何度か繰り返すと次第に心が落ち着いてきます。
その他にも「眠りに入りやすい呼吸法」や「ふとんの中で実践できるツボや体操」もあるので詳しく知りたい方はこちらで紹介しています。
なお、どうしても入眠できない場合は、1度ふとんから出ることも検討しましょう。 ふとんに入っても眠れない経験を繰り返すことで、脳が「ふとん=眠れない場所」と認識してしまい、眠れないことが慢性化してしまう恐れがあるためです。
ふとんから出た後は、身体を興奮させないよう穏やかに過ごしましょう。 電球色系の照明や間接照明の中で雑誌をパラパラめくったり、退屈な本を読むのもおススメです。 また、落ち着く香りを嗅いだり、簡単なストレッチをすることでもリラックスできます。
くれぐれもスマホで「眠れない」「寝る方法」などと検索してしまうようなことは避けましょう。 スマホのブルーライトによってますます眠れなくなるという悪循環に陥ってしまう可能性も・・・。 焦らず、思い悩まず、「考えても仕方ない」「明日のことは明日考えよう」と開き直って気持ちを切り替えて、リラックスすることが大切です。
中途覚醒を防ぐための5つの改善策
眠っている途中で起きてしまわないように改善のポイントを理解し、出来ることから実践してみましょう。
生活習慣を見直す人間の身体は、起床してから14時間~16時間で眠くなるしくみになっているため、しっかりと朝起きることができれば、自然と夜には眠りへつけるようになります。
そのため、身体のサイクルが自然と機能するよう、規則正しい生活にすることが大切です。
起床時間や就寝時間を一定にすると、身体も本来のリズムを取り戻します。 また、運動も身体に程よい疲労感を与えるため、自然な眠りを助ける効果があります。
寝室環境を整える快適な眠りには、寝室環境を整えることはとても重要です。 寝室や寝床内の適正な温湿度については前述の通りになります。 加えて、以下のポイントにも注意して現在の環境を見直し、睡眠に適した空間を作りましょう。
【明るさ】 照明の明るさは、睡眠に大きな影響を与えます。 寝室では暖色系の照明を使用し、間接照明で部屋の明るさを調節するが理想的です。 眠る1〜2時間前からは、やや暗めの白熱灯の下で過ごすと寝付きがよくなります。 睡眠中は暗いほどよく、4ルクス以下が理想的。 フットライトなら同程度の明るさのものがあるので、真っ暗な状態が不安な人におすすめです。 なお、朝は2,500ルクス以上の強い光を浴びると、スムーズに目覚められます。 起床時刻の30分前から徐々に明るくしていくと、さらに効果的。 寝室の照明がタイマー付きなら、ぜひ試してみてください。
【音(静けさ)】 眠りを妨げる音の大きさは40〜50dB(デシベル)以上といわれています。 50dB以上(エアコンの室外機や、テレビの音、壁のスイッチを押す音など)になると、多くの人が眠りを阻害される可能性があります。
できるだけ静かな環境が望ましいのですが、全くの無音状態だと逆に不安な気持ちになります。 暗く無音の空間は感覚的な刺激が少ないので、ささいな音が気になったり、不安や緊張を感じたりして、寝付きが悪くなる場合もあるので注意が必要です。
そのため、そよ風に揺れる木の葉の音や、静かに保たれている図書館ぐらいの音(30〜40dB)が心地よく眠るための理想の静けさといえます。
【空気・ホコリ】 寝室の換気は意外に忘れがちです。 リラックスする場所だからこそ、しっかり換気を行ってキレイな空気の中で過ごしましょう。
寝室の空気が汚れていると、睡眠中でも無意識に呼吸が浅くなってしまいます。 呼吸が浅く呼吸量も減ると、一晩しっかり眠ったとしても疲労が解消されず、起床時にだるさを感じやすくなってしまいます。 空気の清潔さを保つためにも空気清浄機で空気中に浮遊するアレル物質を除去して、サーキュレーターで寝室全体の空気を循環させるのもおススメ。 さらに昼間にはなるべく窓を開けて自然の外気を取り込むよう心掛けてください。
また、日中に活動したときに舞うホコリは、寝静まった後に床から30センチくらいの高さに舞い降りてきます。 床にふとんを敷いて眠ると、このホコリの中で呼吸する事になるので、寝床をベッドにかえるなどの工夫も1つです。 ベッドにかえるのが難しい場合には、繊維がキャッチしたダニやホコリの舞い上がりを抑えてくれ、肌触りの良さでリラックス効果もあるカーペットを敷くのもおススメです。
カーテンにはホコリがたまりやすいので、最低でも半年に1回は洗濯するように心掛けましょう。
就寝1時間前からブルーライトはNG良質な睡眠を得るためには、就寝前にテレビやスマホを見ることは避けましょう。 スマホやゲームを操作することで、脳が活動的になり睡眠を妨げます。 また、スマホやテレビからのブルーライトも睡眠に影響を与えます。
本当はダメだとわかっていても眠る前にテレビやスマホなど、ブルーライトを浴びる習慣がある人は、ブルーライトカットメガネを使用したり、カットシートをつけたりする工夫をして、さらに冷えピタをおでこに貼って頭を冷やすことも意識してみてください。 脳の温度はブルーライトを浴びることでも上がります。 オーバーヒート気味になった脳の神経をクールダウンしてあげましょう。
食事や飲み物にも注意規則正しい食事には身体のリズムを整える働きがあるため、例えば朝食は抜かずに、しっかりと摂取しましょう。 なお、夕食は、就寝3時間前までに済ますことが大切です。 夕食のボリュームが多いと、就寝中、胃腸に負担が生じるので、眠りが浅くなります。 寝る前の飲食を控え消化管を休ませることで改善する場合があります。
ストレスや自律神経の乱れも中途覚醒の原因の1つとして考えられるので、食事面では、精神の興奮を抑え、心身をリラックスさせる働きのあるGABAを含む食べ物を取り入れるとことをおススメします。 GABAは、発酵食品、キノコ類、雑穀類、トマトなどに多く含まれます。 キノコ類の中ではぶなしめじやブナピーに特に多く含まれているとされています。 摂取するのは夕食が好ましいタイミングといえます。
【夕食時や就寝前に避けるべき食べ物・飲み物】 香辛料や刺激の強いもの:唐辛子やスパイスなどの辛いものは、胃に刺激を与えてしまうので睡眠の質の低下につながる恐れがあります。 また辛いものだけでなく、ニンニクやネギなども刺激が強いので、眠る3時間前までにして過剰な摂取は控えましょう。
カフェイン:コーヒーに多く含まれる興奮作用があるカフェインは、通常2時間程度、高齢者では4〜5時間以上身体の中に残るといわれています。 夕食後に飲むものをノンカフェインの麦茶やハーブティーに替える工夫をしましょう。 またチョコートやココア、栄養ドリンクの一部にもカフェインが含まれているので、要注意です。
アルコール:お酒を飲むと良く眠れる…という方は注意が必要です。 アルコールは睡眠中の尿の量を増やします。 そのため、トイレに行きたくなって目が覚めやすく、睡眠がこま切れになってしまいます。 夕食時の晩酌は日本酒1合、ビール(500mL)1缶、ワインはグラス2杯までを適量とし、寝酒としてアルコールを摂取するのはやめましょう。
入浴時の湯温や就寝時の温湿度もポイント【入浴時のポイント】 ・湯温:38度~40度(ぬるま湯) ・時間:20~30分ほど 42℃以上の熱いお湯で入浴すると、自律神経が活発化して眠りにくくなるため、熱めのお湯なら入浴時間を5分程度にしましょう。 また、寝る直前よりも寝る1〜2時間前に入浴をした方が、体温が下がり、より寝付きが良くなります。
【睡眠の環境を整える温湿度】 理想的な寝室の温度は、16〜26℃を保つとよいでしょう。 夏は室温26度が望ましいですが、28℃を超えると睡眠の質は低下します。 一方、冬は16〜19℃で安定した睡眠を得られます。なお、湿度は50〜60%が理想的です。
不眠症を放置するリスクとは
少しくらい眠れなくても大丈夫だろうと軽視するのは危険です。 睡眠は人間が生きていく上で重要な役割を担っています。
日常生活に影響が出る中途覚醒が多く、睡眠の質が悪くなることで、日中に眠気を感じるようになります。 すると、仕事のパフォーマンスが落ちる・集中力が低下してミスを起こす・判断力が低下して交通事故を引き起こすなど日中の活動に支障をきたすことがあります。
様々な病気を引き起こす可能性がある睡眠不足が慢性化すると、血糖値をコントロールする「インスリン」というホルモン物質への感受性が低下してきます。 すると血糖値が上昇し、糖尿病になるリスクが高まります。
通常眠っている間は休息時に活躍する「副交感神経」が優位になり、血圧が下がるようにできています。 しかし睡眠不足が続くと、活動を休めるはずの「交感神経」が活動したままになり、血圧も高くなったまま朝を迎えてしまいます。 本来は下がるべき血圧が下がらないため、慢性的な高血圧になりやすくなります。
また、不眠症が原因で精神疾患を引き起こす可能性もあり、例としてうつ病を発症するケースが考えられます。 睡眠不足はやる気が出ない、落ち込みやすい、ささいなことでイライラするといった状態を引き起こし、寝ても気分がすっきりしない毎日が続き、朝から落ち込みやすくなるため、結果としてうつ病へと進行していくリスクが高まってしまいます。
まとめ
眠りが浅くすぐに目覚める状態が続くと、心身ともに疲労が溜まってしまいます。 熟睡できずに悩んでいる方は、すぐにでも試せる身近な改善策を実践してみましょう。
食事を意識する、入浴の湯温やタイミングを変える、ブルーライトを制限するといった生活習慣に関連する改善策は、今からでも日々の生活に取り入れられます。
また、寝室環境を見直して改善させることも重要です。 自分が心地良いと感じる睡眠環境を整えて、ぐっすりと眠りにつきましょう。 |
寝具のメンテナンス情報やぐっすり眠れるコツが満載
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