睡眠時間の個人差について解説!【ショート・ロング・バリアブル】 あなたはどのタイプ?
睡眠は心身の健康を保つために大切なメンテナンスの時間です。 ポイントは何時間寝たかではなく、質の良い睡眠を取れたかどうか。 朝スッキリと目覚めて、日中身体の重だるさや眠気を感じない状態を維持できる睡眠時間をしっかり確保したいものです。
皆さんはメディアで「8時間睡眠が理想的だ」と紹介されているのを1度は目にされたことはありませんか。 実はこれには明確な医学的根拠はありません。
しかしなぜ8時間睡眠が理想的だと認識されているのかは「1日(24時間)を3等分して、仕事に8時間、プライベートに8時間、睡眠に8時間」という考えが背景にあったともいわれています。 ですが、8時間眠ったからといって、必ずしもすべての人が上質な睡眠を確保できるわけではないのです。
では果たしてその時間はどのように決まっているのでしょうか。 長時間寝ないと頭が冴えないという人もいれば、短時間の睡眠でも平気というような人も耳にします。 実は睡眠時間は、さまざまな要因によって人それぞれ必要な時間は異なるため、1日何時間が良いとは一概に言えないのです。
今回は個人差のある睡眠時間について詳しくみていきたいと思います。 |
人間の睡眠時間のタイプは3種類に分けられる!
一般的に、理想的な睡眠時間は1日7〜8時間といわれていますが、これには明確な医学的根拠があるわけではなく、睡眠時間の平均値から割り出されたものに過ぎません。 人によって、必要な睡眠時間のタイプは大きく3つに分けられます。
ここではそれぞれのタイプについて紹介していきます。
ショートスリーパー1つ目は「ショートスリーパー」と呼ばれるタイプで、睡眠時間が6時間未満の人で約5〜8%存在します。
ロングスリーパー2つ目は「ロングスリーパー」で、睡眠時間が9時間以上必要な人で日本人の約3〜9%となっています。
バリアブルスリーパー3つ目は全体の80〜90%の人が属する「バリアブルスリーパー」で、睡眠時間は6〜9時間です。
時間的な側面のみで「睡眠時間がほぼ5時間だから私はショートスリーパーだ」、「平均睡眠時間が9時間以上だから自分はロングスリーパーなんだ」と思われる方もいるかもしれませんが、それだけで自分に適した睡眠時間を決めてしまうのは危険です。 本来、個々に必要な睡眠時間は遺伝的な要因と、その時のコンディションなどが大きく影響します。 しかし、日々の生活に追われて適切な睡眠時間をきちんと確保できていないのが現実かもしれません。 このような生活を続けてしまうと疲労がたまったり、気持ちが沈みがちになったりするので、自分にとっての理想的な睡眠時間をきちんと把握することが大切です。
睡眠時間に個人差があるのはなぜ?
睡眠時間は「長い方が良いのか」「短い方が良いのか」と自分がどのくらいの睡眠時間が適しているのか、気になる方もいるかと思いますが、実は長い短いに関しては、どちらが良いのか一概にはいえません。
睡眠は生活習慣の一部であり、仕事や家庭環境、ストレスなどの精神状態に加え、さまざまな要因から影響も受けるものなので、そういった背景が個々で異なり、睡眠時間に個人差が発生するためです。 「自分の理想の睡眠時間」は何時間眠ったかという数字を意識するのではなく、目が覚めたときに熟眠感が得られ、スッキリと起きられたかどうかを目安にみていくのが良いでしょう。 時間の長短にかかわらず、起床時の爽快感と日中に眠気を感じることなく活動ができていれば、質のいい睡眠が十分にとれているということになります。
ショートスリーパーの特徴
必要とする睡眠時間が短く、6時間以下の睡眠でも熟睡感を得られて活動的な人です。 睡眠の効率が良いとされており、寝つきも良く短時間でスムーズに眠り始めることが可能です。 ナポレオンは3時間やエジソンは4時間睡眠だったのは有名な話ですよね。
ショートスリーパーとはショートスリーパーは、レム睡眠(脳の眠りが浅い時間)が少なく、ノンレム睡眠(脳の眠りが深い時間)はほとんど一般の人と変わらないことがわかっています。 そのため、睡眠時間が6時間以下の日が何日続いても、昼間に眠気を感じるようなこともなく、健康上も問題がないのです。
さらにショートスリーパーは睡眠状態から覚醒への時間が非常に短く、活動状態への切り替えが早いことも特徴です。 スッキリと目覚め、寝起きでもすぐに起き上がることが可能で、時差ボケによる影響もほとんど受けないといわれています。
また、近年の研究でショートスリーパーには遺伝的な要素が大きく関わっていることが明らかになりました。 ショートスリーパーの人は睡眠に影響を与える遺伝子で人の体内時計と関わりを持つ「DEC2」、「ADRB1」に変異があることを発見したのです。 つまり、この遺伝子を持っていない人がむやみにショートスリーパーを目指してしまうと無理が生じて健康を害する恐れがあるので要注意です。
ショートスリーパーと短時間睡眠の違いショートスリーパーと似た言葉に「短時間睡眠」があります。 両方とも睡眠時間が短い点は共通していますが、特徴には明らかな違いがあります。
短時間睡眠は自分にとって必要なだけの睡眠がとれていない状態のことです。 ショートスリーパーは6時間未満の睡眠でも問題なく活動でき、日中のパフォーマンスも下がりませんが、短時間睡眠の場合には、日中に眠気を感じたり、休日に長時間寝てしまい起きる時間が遅くなり、足りない睡眠時間の帳尻をわせる傾向にあります。
日本人はショートスリーパーが多い?「日本人はショートスリーパーが多い」と耳にしたことがあるかもしれませんが、理由として、他国と比較した時に日本人の睡眠時間が短いことが挙げられます。
日本における睡眠時間については、厚生労働省が令和2年に行った調査によると、男性の37.5%、女性の40.6%は睡眠時間が6時間未満であることがわかりました。 睡眠時間のみで見てしまえば、日本人の約40%がショートスリーパーであるということになりますが、実際は睡眠時間が6時間未満であってもショートスリーパーではなく、寝不足や睡眠障害を抱えている方も多いのではないかと感じます。
また、仕事環境や家事、育児等によってどうしても毎日の睡眠時間を短くせざるを得なくて苦労されている場合もあるのではないでしょうか。 そのような場合は、少しの時間でも最大限の睡眠効果を効率的に得られるように、睡眠の質を上げることが大切です。 いくつか睡眠の質を上げる方法を例にあげてみたので実践してみることをおススメします。
<就寝前の行動> ・就寝する1〜2時間前に入浴や軽い運動で体温を上げておく。 ・音楽・読書・アロマなど自分がリラックスできる方法で、副交感神経を優位にする。 ・TV・PC作業、ゲームやスマホ操作等、睡眠を妨げるブルーライトを極力避ける。 難しい場合はブルーライトカットメガネを使用したり、画面の明るさを調整してナイトモードや暗めに設定する。
<その他> ・朝は太陽の光を浴び、朝食を摂り体内時計を整える。 ・寝室内の光や音の環境を整えて温湿度が高すぎたり低すぎたりしないよう調節する。 ・日常的にストレスを溜めることはせず、意識的に発散する習慣をもつ。
ロングスリーパーの特徴
アインシュタインの睡眠時間は10時間といわれており、ロングスリーパーだったことで有名です。 ロングスリーパーとは一般的には9時間以上の睡眠時間が必要な人をいいます。 また、ロングスリーパーは入眠に時間がかかり、浅い眠りを繰り返す傾向があります。
ロングスリーパーとはロングスリーパーは睡眠に必要な時間が長いということが特徴で、毎日9時間以上の睡眠をとらなければ睡眠不足を感じてしまいます。 ロングスリーパーにとって最適な時間がたまたま9時間以上だったというだけであって、個人の特徴の1つといえるので、長時間寝てしまうといっても病気ではありません。 ただ体質的に睡眠時間が極端に長いだけです。 長い時間眠ることで、心身をしっかりと休めることができて翌日にストレスや疲労が残りにくいというのも特徴です。 ただ、平日はなかなか必要な睡眠時間を確保することが難しく、ロングスリーパーの人が睡眠時間を減らしてしまうと、心身のバランスを崩して健康を害してしまうこともあります。
ロングスリーパーは一般的な人からは「怠けている」「だらしがない」というようにも見え、誤解されやすいということも特徴の1つといえるかもしれません。 周囲には理解されにくいことから相談もしにくく、他人からの評価を気にして不安やストレスを溜め込んでしまいやすいともいわれています。
ロングスリーパーと過眠症との違い長時間の睡眠が必要ということで、混同されがちな睡眠障害に「過眠症」や「ナルコレプシー」があります。 過眠症やナルコレプシーとは、十分な睡眠時間を確保しても日中に強い眠気を感じる、眠気に耐えられずに寝てしまうといった症状を引き起こす睡眠障害の1つです。
ロングスリーパーは必要な睡眠時間をとっていれば日中の眠気はほとんどなく、病気や睡眠障害といった健康の被害もないのですが、十分な睡眠をとっているにもかかわらず日中に強い眠気を感じたり、日常に支障をきたしている場合は過眠症やその他の睡眠障害の可能性が考えられます。 不安がある場合は、専門の医師に相談するようにしましょう。
ロングスリーパーになるのはなぜ?現時点では、ロングスリーパーの要因となるような特定の遺伝子は発見されていませんが、「体内時計が普通の人よりも長いため」、「眠気に関わるホルモン(ドーパミンやセロトニン)の分泌量が少ないので眠りが浅くなりやすく、その分睡眠時間も長くなるため」などの仮説があり、ショートスリーパーと同様に遺伝的・体質的なものと考えられています。
小さな頃から睡眠時間が長く、また長時間の睡眠でないと睡眠不足を感じるという方は、元々ロングスリーパー体質であると考えられます。 両親のどちらかがロングスリーパーの場合、子どももロングスリーパーである可能性が高いといわれています。 ですが、これは遺伝ではなく生まれ育った家庭の生活スタイルが影響していると考えられています。
睡眠の体質は細かく分けると、朝型・夜型といった「クロノタイプ」と呼ばれる体質にも分けることができます。 朝型の人は目覚めが良く、早起きが得意という特徴が、夜型の人は目覚めは悪いが、夜遅くまで起きていられるという特徴があるといわれており、クロノタイプも遺伝子によって生まれつきある程度決まっているとされています。 そして、夜型の人は制約がなければ睡眠時間が長くなりやすいといわれています。 また、一般的に夜型の人は朝型の人に比べると体温の上昇するタイミングが遅く、活動状態になるまでに時間がかかり、その分睡眠時間も長くなる傾向があります。
ロングスリーパーは病気というわけではありませんが、それによって日常生活に支障をきたす場合は、意識的に睡眠時間を短縮する努力をしてみることも◎
急に数時間単位で減らしてしまうと、日中の眠気や倦怠感の原因になりかねないので、30分程度から短縮してみて様子をみるのがおススメです。 朝起きる時間を少しだけ早く設定して少し早起きしてみましょう。 どうしても眠気を感じる場合には、二度寝をするようにして、心身の健康を損なわないよう気を付けながら行ってください。 いつもより30分早く目覚めても、起きた時に熟睡感が得られるのであれば、「睡眠時間は足りている」ということです。 無理のない程度に熟眠感が得られる睡眠時間をキープしていきましょう。
さらに寝付きが悪く、浅い眠りを繰り返す傾向にあるロングスリーパーなので、深い眠りをいかにしてとっていくかも鍵になります。 そのために寝付きを良くする工夫も必要です。 一般的に簡単に実践できるのは「毎日同じ時間に起床して太陽の光を浴びる」「ぬるめの入浴で副交感神経を優位にする」などの方法が挙げられます。 その他に早く寝付く方法をもっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
バリアブルスリーパーって何?!睡眠時間が6〜9時間の人はバリアブル(変化しやすい)スリーパーと呼ばれています。 日本人全体の80〜90%がこのタイプに該当するとされています。 睡眠時間を削ったり延ばしたりと流動的に変化させることができるという特徴を持っており、6〜9時間の睡眠をとり、日中は眠気もなく問題なく活動できるようであれば、バリアブルスリーパーの可能性が高いといえます。
睡眠時間は季節や年齢によっても変化する
年齢が高くなるにつれて眠りが浅くなる傾向にあり、睡眠時間が短くなっていきます。 これは、日中の活動量が減少していたり、昼寝をする機会が増えていたり、夜中にトイレに行く頻度が増えたりと、さまざまな要因が考えられます。
一般的な睡眠時間の平均値は 15~24歳:約7~8時間 25~49歳:約6~7時間 50~65歳:約6時間 との調査もあります。また、女性の方が睡眠時間が短くなる傾向にあり、60代の女性においては平均睡眠時間が6時間未満の人の割合が多くなっているようです。
睡眠時間は、日照時間の変化に伴い変化するもので、日の出、日の入りの時間によって、身体のリズムに変化が起こるため季節によっても変わります。 6月から7月の初夏に睡眠時間が最も短くなることがわかっています。 夏は遅く寝て早く起きる傾向があり、さらに一度寝ても寝苦しさで起きてしまうことも多く、夏の睡眠時間が短くなっているのです。 一方、冬は早く寝て遅く起きる傾向があり、睡眠時間は冬が一番長くなります。 最も日の短い12月から1月に睡眠は長くなりやすいといわれています。
自分に合った睡眠時間を知るためには?
自分に合った睡眠時間を見つけるためには普段から睡眠の記録を残し、自分にとって適切な就寝時間・起床時間を探っていく必要があります。 「就寝時間」「起床時間」「起きた時の熟眠感」「その日のコンディション」を簡単に書き出し、少しずつ寝る時間を調整していけば、最適な睡眠時間を発見することができます。 例えば、“深夜1時就寝・7時起床(6時間睡眠)”の睡眠リズムで眠気を感じる場合には、就寝時刻を12時に変更してみましょう。 睡眠時間が1時間長くなったことで熟眠感や日中の眠気が改善された場合は、その人にとって7時間睡眠が最適だということになります。 “〇時間眠らないと!”と数字にこだわりすぎるのではなく、自分に合う睡眠時間を探してみてくださいね。
目覚めがスッキリとしているかがポイント!「よく眠れた〜」という熟眠感と同様に目覚めがスッキリしているかも重要なポイントです。 その他のチェックポイントとしては、 ●1週間を通して、昼食後などに眠くならない ●毎日ほぼ同じ時間に目が覚める ●日中、仕事や家事を活動的に行えている これらに当てはまれば、現時点で適正な睡眠時間を確保できていると考えられます。 睡眠の質を上げるには、ストレス緩和、悩みや不安の解消といった内側のコンディショニングと寝具や寝室環境の整備といった外側の調整、そして健康的な生活習慣という点が大切になってきます。
まとめ
睡眠で大事なのは「自分にとって適切な睡眠時間をきちんと確保すること」と「眠りの質」です。 睡眠が不足していると記憶力や感情、日中のパフォーマンスにも大きな影響をもたらすことも報告されており、必要な睡眠時間を確保することはとても大切です。 また、睡眠は「脳や身体の休養」「疲労の回復」「免疫機能の増加」「記憶の固定」「感情整理」など多くの重要な役割を担っています。 睡眠の適正時間を知り、質を改善してエネルギッシュな毎日を過ごしましょう! |
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