エアコンの暖房で乾燥するとどんな影響がある? 有効な対策や睡眠時の暖房使用の注意点もご紹介
冬を乗り切る必須アイテムの1つである暖房ですが、「暖房をつけると乾燥が気になる」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
乾燥することで肌のカサつきを感じてしまったり、喉の調子が悪くなることもありますよね。
だからといって、寒さが厳しい冬に暖房を使わないで過ごすのは難しいのが現実です。
このコラムでは暖房を使っても乾燥しないようにする対策や冬の睡眠時の暖房使用の注意点なども解説していきます。 |
エアコンの暖房で乾燥するのはなぜ?
エアコンの暖房で乾燥するのは、室内の空気に含まれる水分が減ってしまうからではなく、室内の温度が上がると、湿度(相対湿度)が下がるためです。 空気中の水分量は温度が高くなるにつれて増え、逆に下がると少なくなる仕組みになっています。 例えば温度が20℃のときと温度が10℃のときでは、20℃のときの方がたくさんの水分を含むことができます。 冬は室温が低くなるため、元々空気が含むことができる水分量が少なくなります。 そこでエアコンの暖房を利用すると、部屋の湿度は上昇しますが、同時に湿度が減少し、乾燥状態になってしまいます。 加湿機能のあるエアコン暖房もありますが、一般的にはないタイプのエアコンが多いため、その場合は空気を直接あたためることで部屋全体の温度を上げるので、水蒸気は発生しません。 乾燥した環境では、高い湿度を持つ植物や飲み物、衣服、そして人間から水分を奪い、喉や肌の乾燥を引き起こす要因となります。
特にエアコンは、部屋全体の温度を調整するため、広範囲にわたって影響を及ぼし、さらなる乾燥を引き起こす可能性があります。 一方、石油ストーブやガスファンヒーターは、燃料を燃やす際に水蒸気が排出されるため、比較的乾燥を感じにくいです。
乾燥によって起こる3つの影響は?では乾燥することによって私たちの身体や室内の環境はどのような影響を受けるのでしょうか。 考えられるものを解説していきます。
肌や髪の水分量が減る空気が乾燥すると空気中の水分だけでなく、私たちの身体の水分まで蒸散しやすくなります。 肌は徐々につっぱった感覚になりカサついて、さらに乾燥が進むと、いわゆる「乾燥肌」という状態になります。 そうすると服がこすれたり、髪がかかったりするだけでも、かゆみを覚えるようになってしまいます。
また、室内が乾燥することによって影響を受けるのは「肌」だけではありません。 他にも「唇・目・髪・頭皮」などが挙げられます。 唇はひび割れ皮がむけたり、目はドライアイになり、髪は潤いがなくなってパサつき、頭皮からはフケがでやすくなります。
身体の水分が減り、免疫力が低下する鼻や喉などにある「粘膜」も乾燥によって影響を受けます。 乾燥によって粘膜が弱ると、抵抗力や免疫力が落ちて、ウイルスが体内に侵入しやすい状態になります。 鼻がスースーしたり、喉が痛くなったり、声が枯れたりするのは空気が乾燥しているサインなので、注意が必要です。
空気が乾燥しているところに長時間いることは、私たちの身体からも水分を奪われやすくなり、体調を崩す原因となってしまいます。
ウィルスの拡散範囲が拡大してしまうウイルスや細菌は気温が16℃以下で湿度が低い環境を好むといわれているので、冬場は特に気をつけなければなりません。
もともとウィルスは水分を含んだ状態で存在していますが、エアコンで乾燥した空気によって水分が蒸発すると、ウイルスが軽くなり、 空気中に舞いやすくなるため、拡散する範囲を広げてしまいます。
ウイルスや細菌の感染経路には、咳やくしゃみなどの飛沫感染もありますが、乾燥した空気中の方がウイルスは長い距離を飛ぶことができるともいわれているので、特に空気感染には気を配るべきでしょう。
暖房の乾燥によるダメージ対策に有効な6つの方法暖房の乾燥によるダメージを軽減させるためには具体的にどのような対策をすれば良いのでしょうか。 有効な6つの方法を順番にご紹介します。
加湿器を使用する加湿器は、湿度を効果的に上げてくれる家電です。 最近は様々な形状の加湿器が販売されており、加湿器単体のものもあれば、空気清浄機に加湿機能が備わっているものや、アロマ対応のもの、エアコンと連動して湿度と温度をコントロールできるものなどからデスクで使用するような小型のものと幅広くラインナップがあります。 エアコンの暖房を使用するお部屋の広さに適したものを選ぶようにしましょう。
加湿器は大きく分けると「超音波式」「スチーム式(加熱型)」「気化式」「ハイブリッド式(加熱気化式」の4つに分類ができます。 それぞれの特徴を説明します。
■「超音波式」…超音波の振動でミストを発生させ、そのミストに風をあてて空気中に拡散させます。 消費電力が小さく、卓上に置けるものなど種類やデザインが豊富ですが、こまめに掃除をする必要があり、怠ってしまうと雑菌が繁殖しやすいといった側面もあります。
■「スチーム式(加熱型)」…ヒーターで水を沸騰させ、その水蒸気をファンで空中に送り出して拡散させます。 加湿能力は高いですが、消費電力が大きいため、時間が短めの方にオススメできるタイプです。
■「気化式」…水を含ませたフィルターに風をあてて、気化した水分を放出します。 加湿に多少時間はかかりますが、静音性が高く電気代も抑えられ、加熱しないため小さなお子様がいたり、ペットを飼っている方には安心です。
■「ハイブリッド式」…水を含ませたフィルターに温風をあてて、気化した水分を放出します。 「気化式」と「温風気化式」を組み合わせたタイプと、「超音波式」と「スチーム式」を組み合わせたタイプがあります。 どちらもハイブリットなので消費電力が抑えられますが、製品自体の価格は高めです。
また、加湿器の最適な置き場所としては、エアコンと加湿器を併用するならエアコンの下がオススメです。 エアコンから出た風が水分を含んだ空気を運んでくれるので部屋全体の湿度を高められます。 さらにエアコンは吸入口からお部屋の空気を吸い込んで加熱し再び空気を送り出しているので、吸入口に水分を含んだ空気が入れば、エアコンを通じて部屋中に湿度の高い空気が行き渡ります。
定期的に換気を行うエアコン暖房時に換気する際は、暖房はつけたままにして窓を開けるのがおススメです。 換気の度に電源をOFFにするとエアコンは立ち上がりのときが最も負荷がかかるので、換気により下がった室温を元の温度に戻すために、余計に電力を消費してしまいます。
理想的な換気の頻度については、時間や部屋の広さや窓の数など、条件によっても異なりますが、だいたい「1時間に5分〜10分ほどを2回」が目安とされています。 冬で寒くて5分も窓を開けていられないといった場合は、「1時間に2分半を4回」など、短時間で回数をあげる方法もあります。
部屋干しをする洗濯物の部屋干しも湿度対策にピッタリです。 「室内の加湿」と「洗濯物の乾燥」が同時にできるため、効率的で便利な方法です。
部屋の中に洗濯物を干すだけでOKなので、普段の家事の手間と変わらないですし、「エアコンハンガー」という便利グッズを使用すれば、洗濯物にエアコンの風を直接あてることができるため、より早く室内加湿や洗濯物の乾燥を行うことができます。
ただし、洗濯物が完全に乾き切ってもパッと見では判断しにくいので、時々乾き具合を確認する必要があるでしょう。
また、濡れタオルを干すだけでも効果があるので、乾燥が気になる際に気軽にできるのも魅力です。
こまめに水分補給をする室内の加湿や肌の保湿といった「外側のケア」を行いつつも、水分補給で「内側のケア」も行うことが理想的とされています。 冬でもこまめに水分を補給し、喉を潤してあげましょう。
さらに鼻や喉の乾燥におススメなのがマスクを着用することです。 空気が乾燥していてもマスク内は呼気による湿気で潤うため、粘膜が乾燥しにくくなります。
室内を潤す乾燥が気になるときは部屋の中を水拭きすることでも乾燥対策になります。 特に壁やフローリング、窓などの大きな面を水拭きすると効果的です。
また、カーテンに霧吹きを吹きかけて部屋の中を潤す方法もあります。 カーテンから水分が蒸発するため、乾燥を防げます。 さらに1か月に1度程度はカーテンを丸洗いし、そのままカーテンレールに掛けて乾かすのも良いでしょう。
ただし加湿をしすぎてしまうと、窓ガラスに結露が発生したり、室内にカビが増える原因になるので、加湿のしすぎに気をつけて、部屋の湿度を調整しましょう。
浴室やキッチンを上手に利用する家の中全体での加湿を考えると、浴室やキッチンを利用する方法もあります。 例えば、浴槽にお湯を張り、浴室のドアを開けておくことはお湯のあたたかい蒸気が部屋の中全体に広がり、加湿してくれるので即効性が高い湿度の上げ方です。 ただ、家の構造によっては浴室と湿度コントロールをしたい部屋との位置関係が難しい場合があるので、この方法はワンフロアにあるマンションなどの方が有効といえます。
また、キッチンで鍋ややかんで水を沸かすのも効果的です。 水を沸かした蒸気で部屋の乾燥を防げます。 水が沸いたら、エアコン暖房を使用している部屋に鍋ややかんを移動して蓋を開けて置いておきましょう。
さらに料理を鍋料理にして温めた水分によって湿度を上げる方法は、キッチンと同じフロアにあるリビングダイニングにはおススメです。
これまで6つの有効な対策方法をお伝えしてきましたが、空気が乾燥するからとただ加湿を意識すれば良いわけではありません。 過度な加湿はカビが発生する原因になるので、カビの発生を防ぎ、ウイルスが活発化しない温度と湿度を保つことが大切です。 一般的にカビは、気温が25℃程度・湿度が70%以上、ウイルスは、気温15〜18℃以下・湿度が40%以下の環境が続くことで発生しやすくなるといわれています。 エアコン暖房をつけるときは20℃〜23℃で、湿度を50〜60%に保つと乾燥しにくいので快適に過ごせます。 体感では正確にわからないので、温湿度計を1つ用意して活用することをおススメします。
睡眠時のエアコン暖房使用の注意点
部屋の大きさや個人差で感じ方は変わりますが、冬の寝室で適切な温度は「20℃前後」です。 就寝前は室温が23℃程度になるよう設定して温めます。 気密性が高い部屋なら、エアコンの暖房を切っても温度が急激に下がることはありません。 したがって、体温を適切に調整するために、寝る前には暖房で室温を調整すると良いでしょう。
しっかり部屋や寝具をあたためておくことは大切ですが、ふとんに入ってもあたたかい状態が続くのは好ましくありません。 ふとんに入る際に暖房をOFFにして、部屋の温度も自然に下がるようにしましょう。 部屋の温度が下がると、身体から熱が放散されやすくなり、深い睡眠に入りやすくなります。
地域によっては、完全に暖房を切ってしまうと、寒くなりすぎる場合があるので注意が必要です。 寒くなりすぎると、人間の身体は生存のために体温を上げようと反応するので、逆に目が覚めてしまいます。
暖房をOFFにすると寒くなりすぎる場合には設定温度を低めにして、タイマーを設定しておきましょう。
そして起床の30分程度前から暖房を入れて、部屋をあたためておくのがふとんから出やすい環境作りのコツです。
まとめ冬に欠かせないエアコンの暖房ですが、エアコン暖房のみを使用すると乾燥が気になります。 適切な湿度コントロールを行うことで室内の乾燥を防ぎ、快適に過ごすことができます。
エアコン暖房による乾燥で悩んでいる方は、今回ご紹介した乾燥対策をぜひ試してみてください。 |
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