寝汗で途中で起きてしまう?!原因と予防対策をご紹介
私たちは汗をかくことで体温を調節しています。 人間はひと晩に自然な生理現象としてコップ1杯ほどの寝汗をかいています。 また悪夢を見たときや、風邪などで熱が下がったときなどに汗が大量に出ることがありますが、いずれも一時的な現象ですので特に心配はいりません。
しかし、こうした要因とは関係なく、いつもより多量に寝汗をかいてしまう場合は注意が必要です。 東洋医学では、寝汗のことを「盗汗」といい、身体のエネルギーが消耗している状態と考えます。 夜中に寝汗で寝苦しく感じて起きてしまうと眠りが浅いだけでなく、睡眠が中断されてしまうので、当然ですが睡眠の質が低下して寝不足になってしまいますし、何らかの病気が隠れている可能性もあります。
このコラムでは寝汗の原因と予防対策について解説していきます。 |
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寝汗の役割とは睡眠中の発汗には、体温を下げ、眠りを深くする役割があります。 夜間に体温が上がりすぎて、ノンレム睡眠を浅いものにしないために、就寝中に汗をかくと考えられています。 日中活動した脳や身体を休息させるために睡眠中に汗をかき、その汗が蒸発した気化熱で脳や体内の内部の温度を下げて、睡眠を深くとれるように導いてくれています。
寝汗は睡眠の質を高めるために重要な要素の1つで、健康な大人の場合、季節を問わず一晩に約コップ1杯程度の寝汗をかくとされています。 コップ1杯というと何だか多いようにも感じますが、この程度の適量の汗は、パジャマやカバー・シーツなどがきちんと吸収してくれるので睡眠を妨げるような不快感は基本的にありません。
逆にこの生理現象の量を超えてかいてしまう寝汗は、身体に何らかの異常が起こっているサインと考える必要があります。
寝汗が多い原因は?
室温が特別高いわけでもないのに、寝汗でパジャマがぐっしょり濡れていたり、夜中に何度も目を覚ましてしまうほど不快に感じるようであれば、「たかが寝汗だから気にしなくていい」と放置せず、原因をしっかりと突き止めて適切に対処しましょう。
ストレスを抱えている精神的なストレスは、寝汗が多くなる原因になります。 怖い夢を見たときに寝汗を大量にかいていた……なんていう経験がある方もいるかと思います。 また、起きている時の緊張やプレッシャーから、汗が多くなってしまうことも。 ストレスによる発汗箇所は手のひらや足の裏、脇などが多いです。
精神的なストレスが大きいと、自律神経の乱れを招き、交感神経と副交感神経の切り替えのスイッチが上手く入らなくなってしまいます。 そうすると、体温調整が正常にできなくなり、寝汗の量が多くなってしまうことがあります。
胃腸機能の低下胃腸は摂取した食物を貯蔵し、エネルギーに変換するための器官です。 胃腸の機能が低下することで十分なエネルギーを得られず、身体の不調となってあらわれてくることがあります。 例としてパジャマがぐっしょり濡れるほどの寝汗や脂汗のような不快感を抱いたり、起き抜けに倦怠感を伴ったりすることがあります。 心当たりがある場合には一度病院で受診してみることが大切です。
ホルモンバランスの乱れホルモンバランスの乱れも、寝汗が増える原因になります。 更年期障害の症状のひとつとして寝汗が挙げられるのも、更年期の年代になるとホルモンバランスが崩れやすくなるからです。 ホルモンバランスの乱れが原因で自律神経が乱れると、内分泌系(ホルモン)や免疫系も連携して乱れてしまいます。
睡眠環境の影響睡眠環境の影響で寝汗がひどくなる場合もあります。 体温調整は衣服やエアコンで行うのが基本ですが、寝具の吸水性・吸放湿性がよくない場合は汗をしっかり吸収できず、「寝汗がひどい」と余計にストレスを感じやすくなります。 また、見落としがちですが、湿度コントロールをきちんと行わないと睡眠中に不快感を引き起こし、寝汗の原因につながります。
過剰なアルコール摂取「お酒を飲んだ日に寝汗がひどかった」という経験がある方も多いのではないでしょうか。 アルコールを摂取すると、体内でアセトアルデヒドという物質が発生します。 この物質は肝臓をはじめとする臓器の働きによって分解されて汗や尿として体外に排出されます。 アルコールの摂りすぎによって、アセトアルデヒドが大量に発生し、その分解のために寝汗が多くなってしまうこともあります。
多汗症多汗症とは、体温調節や精神的な緊張など、本来の汗腺機能を超えた大量の汗をかいてしまう病気です。 日常生活や社会生活に支障をきたすほど、汗をかいてしまうのが特徴です。 症状は大きく分けて2つあり、全身に汗をかく全身性多汗症と、手のひら、足の裏、脇の下など特定の部位に汗をかく局所性多汗症に分けられます。
その他の病気思い当たる原因もないのに寝汗がひどい場合、自律神経や甲状腺などに異常が発生している可能性があります。 寝汗があまりにもひどい、または寝汗以外にも体調不良など気になる症状がある方は、専門機関で診察や検査を受けることをおススメします。 また、睡眠時特有の観点から考えられる原因は睡眠時無呼吸症候群です。 こちらも専門の検査を受けることができるので主治医に相談してみましょう。
注意が必要な寝汗の見分け方睡眠中に汗をかくことは、日中に溜まった熱を放出し、体温を調節するために必要な生理現象です。 特に、疲れている時やストレスが溜まっている時は、自律神経の乱れによって体温調節機能がうまく働かず、寝汗をかきやすくなります。 加えて、寝具や温度などの寝る環境が原因で寝汗をかいてしまいます。
しかし、以下のような場合は注意が必要です。
・寝汗で起床時に身体がだるい、頭痛がある ・大量の寝汗で、パジャマやシーツがびしょ濡れになる ・いつもより寝汗が臭い
上記が当てはまるようであれば、身体に何かしらの異変が発生している可能性があるため、生活習慣の改善や医療機関への受診が必要になってくるので、注意するようにしましょう。
寝汗を軽くみてはいけない理由
寝汗を不快に感じ、夜何度も目が覚め着替えをする、翌朝起きたときパジャマや寝具がビショビショになっている、というときは寝汗が過剰になりすぎています。 また、寝汗をそのままにしておくとさらなる被害を拡大させることにもつながります。 ここでは寝汗を軽視すると起こりえる事柄について解説していきます。
体調を崩す原因になる寝汗が冷えて体温を奪い、風邪をひきやすくなったり、体調を崩すきっかけになることがあります。 また、寝汗が気になり途中で起きてしまい睡眠不足に陥ることも・・・ 他にも、大量の寝汗で濡れた寝具は放置しておくとダニやカビが繁殖しやすく、不衛生な空気の中では呼吸が浅くなり、睡眠の質の低下を招いて、体調不良の原因になる可能性があります。
臭いやシミの要因になる汗をかくと当然汗臭くなります。 寝汗がひどく朝シャワーを浴びる時間がないときなどは、一日中汗臭さが気になり、体臭のもとになってしまいます。 また、寝具への影響も大きく、シミになったり、湿気がたまってしまいカビやダニの原因になったりするので要注意です。
肌荒れや肌トラブルを起こしやすくなる寝汗が肌トラブルを招くこともあります。特にあせもの症状が多くみられます。 寝汗をかくことで、かゆみや炎症などが慢性化してしまうこともあるため注意しましょう。 また、ニキビなどの肌荒れを悪化させる可能性もあります。
寝汗が多い時に実践したい4つの対策
寝汗が気になると睡眠の質低下や体調不良など、さまざまなトラブルにつながります。 寝汗に悩んでいる方は、これからご紹介する対策を実践してみてください。
寝具・寝室環境を見直す寝汗対策にパジャマはとても重要です。 吸湿性の良いパジャマで寝ることで、多少汗をかいても気にせずに眠ることができます。 吸湿性の悪いパジャマだとコップ1杯程度の健康時の普通の量の寝汗を吸収することができずに、夜中に目を覚ますこともあります。 シルクや綿・麻などのパジャマなど、天然素材のものは、吸湿性が高くおススメです。 また、パジャマと同様に寝具やカバー類も吸湿性に優れ、発散性の高い綿素材をはじめとする天然素材のものに見直すこともおススメです。 敷き寝具は、素材と硬さに気をつけましょう。 個人差はありますが、柔らかく沈み込むようなものだと身体と寝具が密着しすぎて汗をかきやすくなり、さらに寝返りも打ちにくくなるので睡眠の質にも影響します。 程よい硬さがあり、ご自身の身体にあったものを選ぶようにしましょう。 また、寝室環境が悪いと寝汗をかきやすい状態になるので、あわせて整えましょう。 理想的な室内温度は、夏場は約25℃〜26℃、冬場約22℃〜23℃、湿度については1年を通して50%〜60%とされています。 暑いからとエアコンなどで室内の温度を一定にしている場合は、ぜひ除湿機の併用をおススメします。 寝汗は気温だけでなく、湿度の影響も大きいので、除湿機を使うと効果的です。 エアコンと除湿機を使い分けて、快適な睡眠を目指しましょう。
ストレスを溜めない工夫をする過度のストレスをためないよう、自分なりのストレス解消方法を見つけましょう。 夏も40℃くらいのぬるめのお湯に10分程度浸かることも◎。 体が温まって心も身体もリラックスし、自律神経が安定しやすくなります。 その他夕方の軽い運動や音楽を聴く、本を読むなど自分の好きな時間を意識的につくり、リラックスした状態で眠りに入るようにしてみましょう。
生活習慣を整える昼夜逆転の生活や乱れた食生活などを繰り返していると、自律神経が乱れてしまいます。 更年期障害と同じく、自律神経による血管の拡張と収縮のコントロールがうまく効かなくなり、大量の発汗につながります。 規則正しい生活習慣で体内時計を正常に戻し、自律神経の安定を心がけましょう。
服用している薬がある場合は主治医に相談するかかりつけの医師や薬剤師に、今飲んでいる薬の副作用の可能性がないかご相談ください。 一般的に薬剤としては、抗うつ薬、解熱鎮痛薬、糖尿病治療薬などが寝汗の原因となる場合があるといわれています。
まとめ
寝汗自体は多少の個人差はあったとしても誰でもかいており、睡眠の質の向上には重要な役割があるのですが、極端に多い場合は身体からのサインと捉え、放置しないで対処しましょう。
自分でできる対策を実践してみて改善をするように意識を向けることがまずは大切です。 それでも寝汗の悩みが改善しないときは、一度医療機関で診察を受けるようにすることをおススメします。
「たかが寝汗…」と軽視せず、気になる場合は原因をしっかりと突き止めて適切に対処し、良質な睡眠がとれるようにコンディションを整えていきましょう。 |
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