赤ちゃんの眠り|幸せ脳は質の良い睡眠からつくられる
「寝る子は育つ」と昔からいわれてきたように睡眠には健康な心と身体を育て成長を促す役割があります。 さらに”感じる力・考える力・行動する力”の土台である脳は質の良い眠りから出来ています。 睡眠は脳を休ませて、身体をメンテナンスするとても大切な時間です。 質の良い眠りを味方につけると大人になったときの生きる力の差となってきっとあらわれてくるはず・・・
赤ちゃんの眠りの特性を理解し、十分な睡眠を取らせてあげて、好奇心旺盛で情緒豊かな人への思いやりや優しさにあふれた幸せ脳へ導いてあげましょう。
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赤ちゃんの眠りのメカニズム
赤ちゃんの眠りは不安や気がかりがたくさんでわからないことだらけ。 赤ちゃんの眠りのメカニズムと質の良い眠りはなぜ大切なのかをご紹介します。
新生児(生後1〜2ヶ月)は昼夜の区別なく2〜3時間の短い眠りと授乳を繰り返し、1日におよそ14〜18時間の睡眠をとるといわれています。 お世話をするパパやママにとっては、睡眠時間がこま切れになりがちで大変な時期ですが、これはまだ睡眠覚醒リズムが確立していないため、赤ちゃんの眠りのメカニズム上、致し方ないことなのです。 例えば大人はひと晩でレム睡眠とノンレム睡眠が90〜100分ごとに4〜5回ほど起こりますが、新生児は約40〜50分、1歳半〜2歳で約60分ごとに周期が訪れます。 周期が大人に比べて赤ちゃんは短く何度も繰り返します。レム睡眠の割合も多いので浅い眠りのタイミングで少しの物音や刺激でも起きてしまうことも。
実はママのお腹の中にいる赤ちゃんにも、睡眠リズムは形成されつつあります。 脳が活動状態にあり眠りが浅い”レム睡眠”と脳を休めるための”ノンレム睡眠”のサイクルは、妊娠30週ごろから少しずつ出現し始めます。 胎児期はママのリズムの影響を受けているようですが、誕生後、赤ちゃんは自分自身のリズムを作り始めます。 そこで、ママのリズムと生まれたばかりの赤ちゃんのリズムにズレが生じてしまうため、赤ちゃん自身の体内時計が十分に機能するには最低でも生後3ヶ月は必要になります。
生後3〜4ヶ月を過ぎると太陽の光や食事、パパやママとの接触時間などを手がかりに昼夜の区別がついてきて、人間が本来もっている体内時計『昼間は起きて活動し、夜は身体を休めるために眠る』という生活ができるようになり、徐々に夜まとまって眠ってくれるようになります。 同時に体内でメラトニンの分泌が始まり、昼間の睡眠は少しずつ減少していきます。 生後8ヶ月頃には午前午後1回ずつお昼寝は必要ですが、大人と同じように夜になると眠って、朝には目が覚めるようになります。
赤ちゃんに限らず人間はメラトニンという睡眠ホルモンの働きで眠ります。 そして眠っている間に成長ホルモンが最も多く分泌されます。 子どもの成長・発達には、睡眠がとても重要な役割を果たしており、メラトニンは記憶力や学習能力、情緒の安定などにも影響するといわれています。 赤ちゃんの場合でも、眠ることは生命維持や脳の活動にもたくさんの影響を与えていると考えることができます。
赤ちゃんがたくさん眠る4つの理由とは
赤ちゃんは大人の顔を見分けたり、声を正確に聞き分けて同じ音を自分で声に出したり、笑って話しかければ自分も笑顔つくって反応してくれますよね。 「他者を理解し、共感し、協力して何かをやる」という社会力の基礎である対人応答能力も実はこの頃から身につけています。 このように脳は生きる力の土台です。 赤ちゃんにとって睡眠とはこの土台をつくる上で欠かせないものなのです。
睡眠中に脳の機能を育てている赤ちゃんはレム睡眠の時間を多くとることで、頭の中の神経回路を広く繋げ、脳を育てようと脳幹を活発に活動させているのです。 そして脳が発達するにつれて、使いすぎた脳を休ませるためにノンレム睡眠の時間が増えていき、2歳頃になるとレム睡眠の割合は大人同様約20%程度になります。 脳の細胞は他の細胞のように入れ替わらないので、生まれた時とほぼ変わらないということもわかっており、神経細胞の活発な動きは成長と共に止まってしまい、その後新しい神経回路を作ることは非常に難しくなるので、この時期の睡眠は非常に大切な役割を担っています。
睡眠中に学んで賢くなる赤ちゃんは昼間、あらゆる物に触れ、さまざまな音を聞き、周りの世界を知っていきます。 新しいものを見つけると、感触や形を確かめて、振り回したり、口に入れてみたりして、その感覚情報をそれぞれ脳に送っています。 その情報は眠らないと記憶として固定されず、また、知識化もしません。 脳には、”海馬”と呼ばれる記憶に関する場所があります。 起きている間は様々なことを認知し、海馬が最も活性化する睡眠中に、今日認知したことを整理して知識にします。 例えば、カーテンを開けたときに差し込む明るい太陽の光、ママの笑顔、「おはよう」の爽やかな声、赤ちゃんはすべて一緒に感じとって、「朝」を知ります。
睡眠中に骨や筋肉を育てるホルモンが分泌される生後4ヶ月ごろから成長ホルモンが分泌されるといわれています。 この成長ホルモンは熟眠中に大量に分泌され、骨や筋肉を育て、傷んだ組織を修復・回復させ、赤ちゃんの身体をすくすく育てます。 食事や運動では分泌されることのない睡眠中だけの特別なホルモンなのです。 成長ホルモンは、特に夜10時〜深夜2時の時間帯が、一番盛んに分泌されるので、その時間には、熟睡することが理想的です。
睡眠中に子どもにとって大切な「メラトニンシャワー」が分泌される睡眠中にメラトニンというホルモンも分泌されます。 メラトニンは睡眠と覚醒の1日のリズムを作るために大切なホルモンです。 メラトニンは生涯を通じて1歳〜5歳の間に一番多く分泌されるといわれており、これを「メラトニンシャワー」といいます。 その分泌量は大人の約20倍ともいわれています。 この時期に、睡眠中メラトニンをしっかり分泌させておかないと将来の発ガン率が高まったり、キレやすくなったり、肥満や発語の遅さにつながってしまう可能性があります。
月齢別の理想的な睡眠時間と生活リズム
赤ちゃんによって1日の睡眠時間は個人差があり、データによっても多少のばらつきがありますが、新生児は14〜18時間、3ヶ月頃は14時間前後、1歳以上では12〜14時間くらいが目安となるそうです。 赤ちゃんは4ヶ月頃から徐々に夜間長めに眠れるようになります。 それは昼間はっきり目を覚ますことができて、夜たっぷり眠れる睡眠パターンができるようになるからです。
【月齢別理想的な睡眠時間】
赤ちゃんの規則正しい眠りには生活リズムづくりが重要なポイントです。 生後3〜4ヶ月以降はパパやママが赤ちゃんが地球時間に合わせられるように体内時計を整える環境をつくってあげることが安眠ベイビーにするコツです。 規則正しい生活リズムを身につけた赤ちゃんは、「よく眠る赤ちゃん」になって、すくすくと成長していきます。
早起きできれば早く寝る体内時計を整えるコツは朝起きる時間と夜寝かしつける時間を一定にすることですが、第1歩としてまずは朝決まった時間に起こしましょう。 理想は朝7時までに起こし、夜は8時までに寝かしつけることです。 週末の夜もいつもの時間に寝かしつけ、翌日の朝も決まった時間に起こしましょう。 赤ちゃんは「週末だから特別」なんてわかりません。 “朝は明るく適度な刺激を、夜は暗く静かに”の環境を意識し、朝赤ちゃんを起こしたら、カーテンを開け部屋に太陽の光を入れましょう。 しっかり目覚めていなくても抱っこしたまま窓辺に連れて行き太陽の光を浴びさせることが大切。 夕方から寝る直前まではなるべくテレビを消し、照明をやわらかな間接照明に変え、静かで安らげる空間づくりを工夫して、朝は明るく、夜は暗いことを赤ちゃんに教えてあげましょう。
朝の目覚めルーティーンをつくりましょう朝、赤ちゃんを起こしたら、決められた一連の目覚まし行動をすることで、赤ちゃんに「これから朝ですよ」と教えてあげます。 夜寝ているところとは別のところに赤ちゃんをうつし、パジャマから洋服に着替えさせ、顔をやさしくふいてあげ、「おはよう」と優しく声掛けするなど、一連の目覚めのルーティーンを習慣化させましょう。 五感を刺激してすっきり目覚められると夜もスムーズに寝つきます。
1日1回はなるべくお外へ。お日さまの光を浴びてたくさん遊ぼう心地よい疲れがあってこそ夜もぐっすり眠れます。 赤ちゃんの脳は、外に出るだけでワクワクする刺激をうけます。 1日1回はなるべく外出し、日中は太陽の光を浴びて活動的に過ごしましょう。 太陽の光は夜に眠気を引き起こす「メラトニン」というホルモンの分泌を高めます。 外出がなかなかできない場合は、赤ちゃんを抱っこしてベランダに出て、外の景色をみせてあげたり、抱っこしながら体を上下にゆらしたりしてここちよく脳と身体を疲れさせましょう。
お昼寝のさせすぎと時間に気をつけましょう生後3ヶ月ごろまでは赤ちゃんが眠そうにしていたら自然に眠らせてあげてOK。 生後4ヶ月頃からはある程度お昼寝の始まりの時間をスケジューリングして生活リズムが整うように心がけましょう。 生後6ヶ月ごろになったらお昼寝の時間は2時間くらいまでを目安とし、午後のお昼寝を長引かせると夜の寝つきが悪くなるので、遅くとも3時半くらいには起こすように意識しましょう。
赤ちゃんにとって心地よい睡眠環境づくり
寝るスペースは赤ちゃんの生活の中心になります。 お部屋の一角に専用の場所を確保してあげましょう。 清潔に保てる場所を確保し、ベビーふとん、ベビーベッドのサイズは、70×120㎝とそれほど大きなスペースでなくても大丈夫です。 ただ、赤ちゃんにホコリは特にNGなので、風通しがよく、こまめにお掃除ができるような場所を選びましょう。
ふとんとベッド、どっちがいい?生後3ヶ月ごろまでは赤ちゃんが眠そうにしていたら自然に眠らせてあげてOK。 実際にお部屋に占める面積はほぼ同じですが、寝かせる場所、パパやママとの就寝スタイルや兄弟の有無などによって、ベビーベッドを導入するかどうか決めると良いと思います。 ベビーふとんは、ベビーベッドの内寸と同じなので、そのまま敷くことができます。 ベッドは使用期間が短いので、レンタルするのも◎。 両方の特徴を比べて見てみましょう。
【ベビーふとん】 メリット:添い寝が出来るので夜中の授乳が楽に。移動させるのが簡単で部屋に圧迫感がない。 デメリット:ホコリを吸いやすい、振動が伝わりやすい。
【ベビーベッド】 メリット:立ったまま着替えやオムツ替えが出来て腰が楽。ホコリを吸うリスクが少ない。ベッド下を収納スペースとして利用出来る。 デメリット:転落や柵に頭をぶつけるのが心配。使わなくなったら邪魔になってしまう。
温度や湿度はどのくらいが適切か赤ちゃんが快適な室温は夏は26〜28度、冬は20〜22度といわれています。 また湿度は年間を通して40〜60%を保つのが理想とされています。 赤ちゃんは大人よりも少し体温が高めですが快適な室温に関して大きな差はありません。 基本的に大人が快適な室温に設定しておけば大丈夫ですが、直接エアコンの風があたっていないか、また室内でも床に近いと冷たい空気がたまりやすく、温度が低い場合があります。 エアコンの設定温度だけではなく、温湿度計を購入し、赤ちゃんが過ごすスペース付近に置いて確認しながら調節するようにしましょう。 また、部屋の温度を調節するために使用するエアコンやファンヒーターなど様々な種類がありますが、どの器具を使用する場合でも、必ず換気をするようにしましょう。 特に風が出るタイプのものは、その風で部屋の中のハウスダストを巻き上げてしまいます。 汚れた空気をずっととどめておかないように、冬場などは少し寒いですが窓を開けてこまめに換気をするようにしてください。 理想としては1〜2時間ごとに換気をするのが◎。きれいな空気に入れ替えて心地よく眠れるようにしてあげましょう。
部屋の暗さはどのくらが良い?部屋を暗くすることでメラトニンが分泌され、明るいところでは抑えられる働きを持っています。 できるだけ常夜灯は消し、おむつ替えや授乳時のみ、手元が見える程度の明かりをつけるようにしましょう。 真っ暗だと心配な場合は、赤ちゃんの目に直接光が入らない場所にやさしい明るさのライトを置いてみるもの◎。 また、赤ちゃんが日中眠っていても部屋を暗くする必要はありません。 逆に夜中に起きたからといって部屋を昼間のように明るくすることはNGです。
寝床周りには何も置かずにシンプルに!おもちゃやガーゼ・衣類などが近くにあると、ふとした拍子に顔にかぶさり窒息してしまうおそれも。 赤ちゃんのベッドやふとんの周りには余計な物を置かないように気をつけましょう。
赤ちゃんの睡眠に影響するもの睡眠には、さまざまな身体的、外的、心理的、社会的要因が影響します。
身体的な要因には、呼吸障害や耳の感染、胃食道逆流、アレルギー、歯が生えるなどの医学的問題が赤ちゃんの睡眠に影響を与えることがあります。 外的な要因には、音、温度、照明、ベッドの環境などが含まれます。 心理的および社会的な要因には、親との関係、睡眠に関連した不安や恐れ、分離不安、そして良くない睡眠習慣や信念が影響します。 また、文化的な要因も影響を与えます。 例えば、赤ちゃんと親が同じベッドで寝るかどうかは、文化的な習慣や常識によって異なります。
まとめ
赤ちゃんが泣いた時や寝かしつける時、優しくトントンしてあげると泣き止んだり、寝てくれたりすることがあります。 これはトントンという手のリズムと心拍が同期するため。 今までお腹にいた赤ちゃんが外の世界を知り、日々たくさん眠りながら自分のリズムをつくっていくのって本当に素晴らしいですよね。 赤ちゃんの寝顔をみると何ともいえない幸福感が押し寄せてくるものです。 パパやママもちょっと意識して頑張って赤ちゃんに質の良い睡眠をプレゼントしませんか。
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