綿ふとんの洗い方|自宅・コインランドリーでの失敗リスクと判断基準

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執筆者情報:軽石 瑞穂 【業務内容】 おうちdeまるはちWEB関連運用 |
| 長年ふとんクリーニングや寝具のメンテナンスに携わり、お客様の快適な睡眠環境をサポートしてきました。安眠インストラクターや快眠セラピストなど睡眠に関する専門知識を活かし、ふとんクリーニングの重要性や家庭でできる快眠のヒントなど皆様の睡眠の質を向上させる為の情報をお届けします。 |
この記事を読んでわかること●自宅・コインランドリーで「洗える綿ふとん」の3つの見極め方 ●失敗すると戻らない? 綿ふとん特有の「中綿の偏り」 リスク • コスト・手間・衛生面で比較する最適な洗濯方法 ●プロのクリーニングだけができる「ダニ・カビ根絶」の理由 |
「長年使っている綿ふとん、汗や汚れが気になる…」 「節約のために自宅やコインランドリーで洗いたいけれど、失敗しないか不安」
そうお考えの方も多いのではないでしょうか。
綿ふとんはデリケートな素材のため、ご家庭での洗濯は失敗する可能性が高いです。
洗い方を間違えると、中綿が固まってしまったり、カビの温床になったりすることも珍しくありません。
この記事では、洗える綿ふとんの見極め方から、自分で洗う場合の手順とリスクを解説します。
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洗濯前に必ず確認すべきこと
水につける前に、お持ちの綿ふとんが洗える状態か、以下の3点を必ず確認してください。
この確認を怠ると、「中綿が団子状に固まる」「洗濯中に生地が破れて大惨事」「洗濯機が故障する」といった事故につながる可能性があります。
「桶マーク」と「手洗い」の確認> まず、基本中の基本として、ふとんの端についているタグ(品質表示ラベル)を確認しましょう。※1 ※もしなかった場合や消えてしまっている場合は、業者に相談する方が良いので、私たち寝具の専門家にご相談ください。
【桶に水が入っているマーク】 これは「家庭での洗濯が可能」というサインです。 マークの中に数字があれば、それが洗濯液の上限温度を示します。 桶の下に線が1本あれば「弱い洗濯」、2本あれば「非常に弱い洗濯」が必要という意味です。 【桶に手のイラストがあるマーク】 「手洗いのみ可能」で、洗濯機は使用できません。
【桶に大きく「×」がついているマーク】 これは「家庭洗濯不可」のサインです。 水洗いすることで、著しい縮みや型崩れ、風合いの変化が起きる可能性が非常に高いため、ご家庭で洗うのは絶対に避けてください。 この表示がある場合は、専門のクリーニング店に相談する一択となります。
中綿のズレ防止加工と「和綴じ」の注意点
次に、ふとんの表面をじっくりと見てください。 ふとんの側生地と中綿を固定するために、ミシンで縫い付けてある加工を「キルティング加工」と呼びます。 この加工が、「中綿の偏り」を防ぐための生命線となります。 水を含んだ綿は、繊維同士が絡まり合い、水流によって簡単に動いてしまいます。 キルティング加工が細かく施されていれば、綿が移動できる範囲が制限されるため、偏りを最小限に抑えられます。
※昔ながらの和ふとんに見られる、数カ所を太い糸で点で留めているだけの「和綴じ(わとじ)」タイプのふとんは、特に注意が必要です。 このタイプは、キルティングと比べて中綿を抑える力が弱く、洗濯するとほぼ確実に中綿が大きく移動し、団子状に固まってしまいます。一度こうなると、元のふっくらした状態に戻すのは極めて困難です。
生地の破れや中綿の飛び出しリスク
長年の使用で、側生地は目に見えないダメージを蓄積しています。 体重による摩擦で生地が薄くなっていたり、縫い目にほつれが生じていたり、小さな穴が開いていたりしませんか?
乾いている状態では些細に見える劣化も、洗濯時には大きな問題を引き起こします。 水分をたっぷりと含んだ綿ふとんは、想像を絶する重さになります。 洗濯機の水流や遠心力で強い負荷がかかると、そのわずかなほつれから生地が「ビリッ」と裂けてしまうのです。
最悪の場合、中から綿が大量に飛び出し、ふとんが使い物にならなくなるだけでなく、洗濯機の排水弁やフィルターを詰まらせ、高額な修理費用がかかる原因にもなりかねません。 洗濯前には必ずふとん全体を広げ、生地の状態を隅々までチェックしてください。
綿ふとんの洗濯方法
洗濯可能と判断できた場合、選択肢は「自宅(浴槽)」「コインランドリー」「専門クリーニング」の3つです。 多くの方がまず「コスト」に目が行きがちですが、後悔しないためには「失敗リスク」と、目に見えない「衛生面(ダニ・カビ)」まで含めて総合的に比較することが重要です。
安くなる分、手間がかかったり、仕上がりや衛生面に不安が出たりすることもあります。 安さと質のバランスを考えながら、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
自宅の浴槽で「踏み洗い」する手順と限界
洗濯機に入らない厚手のふとんを洗う場合の最終手段が、浴槽での「踏み洗い」です。 しかし、これは相当な覚悟が必要な重労働です。 【手順】 ①【準備】 浴槽にふとんが浸るくらいの40℃以下のぬるま湯をため、おしゃれ着洗い用の中性洗剤を適量溶かします。
②【踏み洗い】 ふとんを屏風のように畳んで浴槽に入れ、足で優しく、リズミカルに踏み汚れを押し出すようなイメージで洗い流します。 ③【すすぎ】 汚れた水を抜き、きれいな水をためて再度踏み洗いを2~3回、泡が出なくなるまで繰り返します。 シャワーをかけながら行うと効率的ですが、水の消費量は膨大になります。
④【脱水】 中綿がちぎれてしまいすので、絶対に絞らないでください。 浴槽の縁にふとんをかけ、1時間以上放置して自然に水を切ります。 この時点で、ふとんは水を吸って鉛のように重くなっています。
⑤【乾燥】 ふとん干し用のスタンドなどを使い、M字型になるように干して風の通り道を作ります。 中まで完全に乾くには、湿度の低い晴天の日でも2~3日以上は見ておく必要があります。 ※重すぎると物干しの金物が破損したり、ふとん干しスタンドの転倒にも繋がる可能性があるので注意してください。
コインランドリーを利用する場合の注意点と乾燥不足リスク
自宅での作業に比べ、大型の洗濯機と強力なガス乾燥機が使えるのがコインランドリーのメリットです。 しかし、こちらも注意点が多数存在します。 【手順】 ①【ルール確認】 最重要項目です。 トラブル防止のため「綿ふとん(特に敷ふとん)洗い」を明確に禁止している店舗は少なくありません。 無断で使用すると、機器の故障や他の利用者とのトラブルの原因になりますので、必ず事前に確認しましょう。
②【ネットに入れる】 ふとんをロール状にきつく丸め、必ず専用の大型洗濯ネットに入れます。 これは、洗濯槽の中でふとんが暴れて生地が傷んだり、万が一破れた際に綿が飛散するのを防ぐための命綱です。
③【洗濯・乾燥】 洗濯コースを選び、スタート。 乾燥は70~80℃の高温で60分~90分が目安ですが、これはあくまで目安です。 途中で何度か取り出してふとんを裏返したり、畳み直したりして、熱が均一に当たるように工夫する必要があります。
コインランドリーの強力な乾燥機をもってしても、厚手の綿ふとんの中心部まで100%完全に乾かすのは至難の業です。 「表面はアツアツなのに、中心部はまだ湿っぽい」という状態は非常によく起こります。 この「隠れ湿気」が、自宅に持ち帰った後にカビが繁殖する最大の原因になるのです。
「綿ふとんの自宅洗い」を推奨しない3つの理由
ここまでご家庭での洗い方を紹介してきましたが、綿ふとんの自宅洗いを推奨していません。 それは、単に「大変だから」という理由だけではありません。 ご家庭の設備では解決が極めて難しい、綿素材の「3つの弱点」があるからです。
中綿が「偏る・固まる」と元に戻りにくい
綿繊維は、ストローのように中心が空洞になった構造(中空構造)をしています。 この構造が空気を含むことで、保温性やふっくら感を生み出しています。 しかし、この繊維は水に濡れると、表面のキューティクルのようなものが開き、繊維同士が複雑に絡み合ってしまうのです。 そして、乾燥する過程でその絡み合ったまま固まってしまいます。 これが「中綿の偏り」や「硬化」と呼ばれる現象です。
ふっくらしていたはずのふとんが、まるでせんべいのようにペタンコになったり、部分的に石のように硬い塊ができてしまったりします。 一度この状態になると、いくら天日干しで叩いても、元のふっくらとした状態に戻すことはほぼ不可能です。 保温性が失われ、寝心地も著しく悪化してしまいます。
中心部が乾かず「カビ・悪臭」の原因になる
綿は、汗などの湿気をよく吸う「吸湿性」に優れる反面、一度吸った水分をなかなか放出しない「放湿性の低さ」という、洗濯においては厄介な特性を持っています。 カビは「温度20~30℃、湿度70%以上、酸素、栄養(皮脂やホコリ)」の4つの条件が揃うと活発に繁殖し、湿度が80%を超えると爆発的に増殖します。 生乾きのふとんの内部は、まさにこの条件が揃った「カビの培養器」そのもの。
洗ってきれいにするつもりが、逆に目に見えないカビ菌を大量に育て上げ、不快な悪臭の原因になるだけでなく、アレルギー性鼻炎や喘息、皮膚炎といった健康被害を引き起こすことになりかねません。
家庭洗濯では「ダニの完全駆除」が困難
「ダニやそのアレルゲンを除去したい」という目的で洗濯を考える方も多いでしょう。 確かに、水洗いによってダニアレルゲン(ダニの死骸やフン)はある程度除去できます。 しかし、家庭の洗濯では不十分な場合が多く、より重要なのは生きているダニを完全に死滅させることです。
ダニを死滅させるには「60℃以上の熱で20分以上」の加熱が必要です。 天日干しでは表面温度が一時的に上がるだけで、ふとんの中心部までこの条件をクリアすることはできません。 また、家庭の洗濯機のお湯も通常40℃程度までしか上がらないため、ダニを死滅させるには不十分です。
生き残ったダニが、洗濯で供給された適度な湿気の中で再び繁殖を始めてしまうという皮肉な結果にもつながります。
これらの科学的根拠に基づいたリスクを避けるためにも、綿ふとんのケアは専門知識を持つプロに任せるのが、最も安全で確実な選択です。
まとめ:綿ふとんはデリケート。長く使うならプロにお任せください
綿ふとんの洗濯は、一見簡単そうに見えて、実は「乾燥」や「型崩れ防止」に専門的な知識と設備を要する、非常にデリケートな作業です。
数千円を節約するために自宅洗いに挑戦し、時間と労力をかけた結果、カビや中綿の硬化で大切なふとんを台無しにしてしまい、結局数万円の買い替え費用がかかってしまっては本末転倒です。
ふとんは、人生の3分の1を過ごす大切なパートナーです。 そのパートナーを長く清潔に、そして快適に使い続けるためには、年に一度、プロの手に委ねることが最も確実で、結果的に経済的な方法といえるでしょう。
「このふとん、まだ使えるかな?」「洗ったほうがいいかな?」と迷ったら、ご自身で判断される前に、まずは私たち寝具の専門家にご相談ください。
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参照・引用元一覧
※1:消費者庁「新しい洗濯表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html
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